病気事典[家庭の医学]

しょくどうあからしあ

食道アカラシア

食道アカラシアについて解説します。

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どんな病気か

食道から胃に移行する部分、すなわち食道胃接合部(しょくどういせつごうぶ)の部分が嚥下(えんげ)(飲みくだす)によっても弛緩(しかん)しないため、食道が拡張する病気です。アカラシアはラテン語で、弛緩が欠如したという意味です。

原因は何か

食道平滑筋部(へいかつきんぶ)にある壁内のアウエルバッハ神経叢(そう)内の節細胞が変性したため、食道胃接合部が弛緩不全を起こし、収縮したままの状態となったため食道が拡張すると考えられています。神経細胞が変性する原因は明らかでなく、神経の変性疾患であるとの報告や、ウイルスが関与しているなどの報告があります。

症状の現れ方

嚥下困難感が現れます。固形物より液体がつかえたり、時期により、つかえる場合とつかえない場合があるなど、症状が変動します。食道がんでは、嚥下困難が持続、または増強します。このほか、嚥下時痛、胸痛などがあります。食道内に詰まった食事が、横になった時に逆流し、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こすこともあります。

検査と診断

食道X線検査で、拡張した食道と、食道胃接合部のスムーズな狭窄(きょうさく)像(凸凹のない狭窄像、図12)で診断します。しかし、X線診断では腫瘍の可能性を否定できないため、内視鏡検査を行い、食道壁に腫瘍がないことを確認する必要があります。

また、アカラシアは食道がんを合併することもあり、定期的な内視鏡検査が必要です。このほかに、食道内圧検査で食道壁に蠕動(ぜんどう)運動があるかどうかをみます。

治療の方法

軽度の場合は、カルシウム拮抗薬を内服します。また、バルーン拡張術により狭窄部を拡張する方法が有効です。食道の拡張が大きい場合や、食道が蛇行している場合、バルーン拡張術が効果のない場合は、手術が必要です。

病気に気づいたらどうする

食物がのどにつかえる、通過しない、吐く、食べると痛いなどの症状がある場合は、早い時期に食道の専門医への受診をすすめます。

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