病気事典[家庭の医学]
しょじょまくへいさ
処女膜閉鎖
処女膜閉鎖について解説します。
執筆者:
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科副科長
百枝幹雄
どんな病気か
処女膜に開口部がなく閉鎖している場合をいいます。
腟は、胎児発生の過程で将来子宮・卵管に発育するミュラー管の末端部の細胞と、それに接する部分の尿生殖洞(にょうせいしょくどう)の細胞が同時に増殖して充実性の腟板(ちつばん)を形成し、胎生5カ月までに腟板内部が空洞化して管状となります。
この時点では腟腔と尿生殖洞は処女膜により分離されており、その後、処女膜が破裂します。この過程に障害があると処女膜閉鎖となります。
症状の現れ方
通常、卵巣や子宮には異常を認めないため、思春期に月経が発来すると、月経血が腟内にたまって処女膜は青紫色に膨隆(ぼうりゅう)し、また貯留量が多くなると膀胱・尿道を圧迫して尿閉(にょうへい)に至ることもあります。さらに進行すれば、子宮や卵管にも月経血がたまり、月経血をみないまま周期的に腹痛を来します(月経モリミナ)。
診断と治療の方法
新生児期の診察で処女膜閉鎖を疑われることもありますが、腟管の状態まで診断することは不可能であり、また、その後自然に開口することもあるので、とくに処置は行いません。大部分は思春期に前述の症状を来して診断されます。
治療としては、処女膜を十字あるいは輪状に切開して、切開創(そう)は再閉鎖しないように辺縁を縫合処置します。
長期に子宮留血症(りゅうけつしょう)や卵管留血症を放置すると不妊症の原因となりますので、診断されれば早期に治療することが望まれます。
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