病気事典[家庭の医学]

しょじょまくへいさ

処女膜閉鎖

処女膜閉鎖について解説します。

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どんな病気か

処女膜に開口部がなく閉鎖している場合をいいます。

腟は、胎児発生の過程で将来子宮・卵管に発育するミュラー管の末端部の細胞と、それに接する部分の尿生殖洞(にょうせいしょくどう)の細胞が同時に増殖して充実性の腟板(ちつばん)を形成し、胎生5カ月までに腟板内部が空洞化して管状となります。

この時点では腟腔と尿生殖洞は処女膜により分離されており、その後、処女膜が破裂します。この過程に障害があると処女膜閉鎖となります。

症状の現れ方

通常、卵巣や子宮には異常を認めないため、思春期に月経が発来すると、月経血が腟内にたまって処女膜は青紫色に膨隆(ぼうりゅう)し、また貯留量が多くなると膀胱・尿道を圧迫して尿閉(にょうへい)に至ることもあります。さらに進行すれば、子宮や卵管にも月経血がたまり、月経血をみないまま周期的に腹痛を来します(月経モリミナ)。

診断と治療の方法

新生児期の診察で処女膜閉鎖を疑われることもありますが、腟管の状態まで診断することは不可能であり、また、その後自然に開口することもあるので、とくに処置は行いません。大部分は思春期に前述の症状を来して診断されます。

治療としては、処女膜を十字あるいは輪状に切開して、切開創(そう)は再閉鎖しないように辺縁を縫合処置します。

長期に子宮留血症(りゅうけつしょう)や卵管留血症を放置すると不妊症の原因となりますので、診断されれば早期に治療することが望まれます。

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