病気事典[家庭の医学]
にゅうせんのにくしゅ
乳腺の肉腫
乳腺の肉腫について解説します。
執筆者:
国家公務員共済組合東京共済病院乳腺外科部長
馬場紀行
どんな病気か
乳がんが乳腺の上皮から発生する悪性腫瘍であるのに対して、肉腫は乳腺を取り囲む間質(かんしつ)といわれる部分から発生する悪性腫瘍です。間質を構成するあらゆる部分が肉腫になりえますが、頻度は非常に低い傾向にあります。悪性化した由来の細胞により、線維肉腫(せんいにくしゅ)、脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)、血管肉腫、リンパ管肉腫、悪性葉状(ようじょう)腫瘍などに分けられます。分類不能のものは、間質肉腫として一括されます。
症状の現れ方
多くは急速に増大する乳腺腫瘤を症状とします。線維肉腫や脂肪肉腫は時に緩慢な発育をすることがあります。肉腫は主として血液を介して肺や肝臓に転移しますが、リンパ節に転移することはほとんどありません。来院時にはすでに多数の肺転移があることもあり、急速な経過をたどります。
検査と診断
乳がんに準じて検査を行います。肉腫に特有の画像診断の所見はありません。多くは、良性の腫瘍のような孤立性の巨大な腫瘤(しゅりゅう)像を示します。針生検でも確定診断がつかず、手術によって切除した組織を電子顕微鏡で検査してはじめて診断できる例もあります。
治療の方法
乳腺の肉腫の治療は手術と化学療法ですが、いずれも乳がんに比較すると有効とはいえません。手術は腫瘍が巨大であれば乳房切断術を要しますが、リンパ節の切除は必要ありません。皮膚の欠損が大きな場合には植皮しなければなりません。
しかし、手術してもすみやかに再発したり、肺や骨に転移するものが多くみられます。化学療法としてはアドリアマイシンやエンドキサンが用いられていますが、その結果は良好とはいえません。放射線療法は一時的に有効なことがありますが、根治することは困難です。
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情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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