病気事典[家庭の医学]
こうしんれつ
口唇裂<口・あごの病気>
口唇裂<口・あごの病気>について解説します。
執筆者:
大阪府立母子保健総合医療センター副院長 西尾順太郎
どんな病気か
口唇裂とは、上口唇(上くちびる)の形成が不十分で披裂(ひれつ)ができた状態で生まれてくる病気のことをいいます(図9)。母親の胎内に宿った赤ちゃんの顔の部分は、最初から形ができあがっているのではなくて、顔面突起(とっき)と呼ばれるものが組み合わさり、徐々に形づくられます。上口唇部は妊娠5~8週にかけて形成されますが、この過程で何らかの異常が起きると上口唇の形成がうまくいかず口唇裂が発生すると考えられています。
症状の現れ方
裂が片側に見られるものを片側性口唇裂、両側に裂が見られるものを両側性口唇裂と呼びます。裂の程度で、鼻孔(びこう)まで裂が達するものを完全裂、鼻孔まで達しないものを不完全裂といいます。口唇裂では多くの場合、顎裂(がくれつ)(歯茎(しけい)の裂)を伴います。また、口蓋裂(こうがいれつ)(上あごの裂がのどちんこまで連続している状態)を伴う場合は、口唇口蓋裂と呼びます。
治療の方法
口蓋裂を伴う症例で裂幅が広く上顎の変形が著しい場合には、手術に先立って顎矯正(がくきょうせい)治療が必要となります。口唇裂の手術は生後3カ月頃、体重5㎏以上の時点で行います。初回手術が最も大切ですので、熟練した術者によって行われなければなりません。
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情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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