病気事典[家庭の医学]
こうないえん
口内炎<口・あごの病気>
口内炎<口・あごの病気>について解説します。
執筆者:
北海道大学大学院歯学研究科口腔診断内科学教授 北川善政
北海道大学大学院歯学研究科口腔診断内科学講師 山崎 裕
どんな病気か
口内炎とは、ひとつの病気(疾患)を指す言葉ではなく、口のなかの粘膜に生じる炎症を総称したもので、炎症が比較的広範囲あるいは散在性に生じたものをいいます。口内炎が特定の場所に限局している場合は、舌炎(ぜつえん)、歯肉炎(しにくえん)、口角炎(こうかくえん)のように呼ぶのが一般的です。カンジダ(真菌)やヘルペスウイルス感染による口内炎など原因が明らかな場合は、カンジダ性口内炎、ヘルペス性口内炎のように呼ばれます。
また、「口腔粘膜炎(こうくうねんまくえん)」は、抗がん薬、放射線照射などの治療に関係して起きる口のなかの粘膜の炎症を指し、一般的に使われる「口内炎」とは区別されます。
原因は何か
原因は細菌、ウイルス、アレルギー(歯科金属やフルーツなどの食物)、薬剤などさまざまですが、原因が特定できないものも多く、白血病、貧血など血液の病気で生じるものもあります。誘因として疲労、体力の低下、免疫異常、ビタミン欠乏、精神的ストレス、遺伝的要因、口腔清掃不良などがあげられます。
症状の現れ方
口内の広い範囲の粘膜が赤くただれたり、水ぶくれやアフタと呼ばれる小さな丸い潰瘍や大きな潰瘍ができたりします。時に、偽膜(ぎまく)という白い苔状(こけじょう)の膜ができることがあります。
自覚症状としては、はじめは口が荒れたり、しみて痛い程度ですが、進行すると接触痛が強くなり、食事がとれない、飲み込みにくい、しゃべりにくいなどの症状が出ます。
口角炎は口角部が切れたりただれたりする疾患で、カンジダ菌やビタミンB群の欠乏が原因で起こります。
検査と診断
局所的な原因で起こる口内炎の診断は比較的容易ですが、全身的な病気で起こるものでは血液検査、免疫学的検査などが必要になることがあります。
口角が切れたり粘膜が赤くなりしみるなどの症状がある時には、カンジダ菌の存在を調べるための培養検査や顕微鏡検査を行います。
治療の方法
局所的には、うがい薬や軟膏が用いられます。ウイルスや真菌感染のように原因がわかっている場合には、それぞれに効く薬を使用します。全身的な病気によるものでは、それぞれに応じた薬を服用しますが、その場合でも口のなかを清潔にすることが大切です。
病気に気づいたらどうする
症状が軽い場合は、様子をみていてもよいのですが、長引くようなら専門医を受診することをすすめます。口全体に口内炎ができてしまったら、食事がとれないために体力を消耗して余病を起こすことがあるので、早めに口腔内科、口腔外科、内科、皮膚科、小児科などを受診してください。
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情報提供元 :
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