病気事典[家庭の医学]
ひろうこっせつ(かたい、あし)
疲労骨折(下腿、足)
疲労骨折(下腿、足)について解説します。
執筆者:
奈良県立医科大学整形外科学教授 田中康仁
どんな外傷か
ランニングやジャンプなどのスポーツ活動を行うことにより、骨の同じところにストレスが繰り返しかかって内部に微細な骨折を生じる場合があります。運動を続けていると、それが修復する前に次の微細な骨折が生じ、ついには骨全体の骨折に至ることがあり、これを疲労骨折といいます。下腿の脛骨(けいこつ)や腓骨(ひこつ)、足部の中足骨や舟状骨(しゅうじょうこつ)によく生じます。
症状の現れ方
激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に多く発症します。明らかな外傷がなく、運動時に局所に著しい痛みを感じる場合は本症を疑います。
一般の骨折のように、皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、局所は軽度の腫脹を伴い、押さえると痛みを生じます。中足骨や舟状骨の疲労骨折では足の甲が、脛骨や腓骨の疲労骨折では下腿に痛みを生じます。
検査と診断
初期にはX線像でわからないこともありますが、発症から2~6週間すると骨形成や骨硬化像が出現して診断がつきます。骨シンチグラフィーやMRIでは、初期の病変でも診断をつけることができます。
治療の方法
ランニングによる下腿や第2~4中足骨の疲労骨折では、通常1~2カ月程度、スポーツ活動を休止することにより治癒します。
しかし、跳躍競技で生じた下腿の疲労骨折や第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折)、舟状骨疲労骨折では治療に長期間を必要とし、時には手術治療が必要になることもあります。実際には試合やトレーニングの日程によって活動を休止できない場合も多く、慢性化することがあります。
病気に気づいたらどうする
骨折部に負担のかかるスポーツ活動をただちに中止し、活動内容を変更します。水中トレーニングやエアロバイクなど、骨折部に負担の少ない方法を試みます。
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