病気事典[家庭の医学]

とくにきをつけるべきびょうき

とくに気をつけるべき病気<運動器系の病気(外傷を含む)>

とくに気をつけるべき病気<運動器系の病気(外傷を含む)>について解説します。

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解説(概論)

発生頻度は低くても、注意すべき病気を記します。新生児、乳児期では先天性股関節脱臼、内反足、先天性筋性斜頸、分娩麻痺(ぶんべんまひ)、骨・関節の先天性形態異常に注意します。

思春期ではとくに腫瘍の発生に気をつけます。腫瘍には良性と悪性とがありますが、悪性腫瘍は生命を脅かす病気で、骨肉腫(こつにくしゅ)はその代表的な病気です。肉腫は骨ばかりでなく軟骨、筋肉、神経、血管などのすべてに発生します。悪性腫瘍は体のあらゆる部位に発生しますが、下肢の発生頻度が高いのです。下肢のなかでも大腿部から膝(しつ)関節近辺に集中する傾向があり、思春期にこの部位の違和感、鈍痛、わずかなはれに気づいたら、ただちに診察を受ける必要があります。

壮年期、老年期では、さほど多くはありませんが、がんの骨転移に気をつけます。腰痛とばかり思っていたら実は内臓のがんが骨に転移していたという場合があります。内臓のがんを治療した人でそののち腰背痛が認められる場合には、とくにがんの転移に注意する必要があります。骨粗鬆症と区別が必要なのは骨髄腫(こつずいしゅ)ですが、最初に骨にできる悪性腫瘍では骨肉腫に次いで多く、多発性(体のいろいろな部位に発生する)の特徴があります。

構成について

運動器系の病気は実に種類が多いのですが、他章との関係もあり、本章で解説するのは代表的な病気に限定しています。骨、関節、軟部組織の外傷およびスポーツ外傷・障害は思春期、青壮年期において今日頻度が高い病気のため、ページを多くさきました。また、腫瘍の発生頻度は少ないのですが、生命に重大な影響を与える病気のため記述を多くしました。さらに、脊椎・脊髄の病気は高齢者に圧倒的に多いのですが、小児期から幅広い年齢層にわたってみられるため力点をおきました。

人が人らしく生活し活動することができるか否かは、運動器系の臓器が正常に機能するか否かにかかっているといっても過言ではありません。寝たきり状態になることを避けるうえでも、運動器系の病気の重要性をよく理解する必要があります。本章が読者に十分活用されることを希望します。

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