病気事典[家庭の医学]

よなきとやきょうしょう

夜泣きと夜驚症

夜泣きと夜驚症について解説します。

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どんな病気か

いずれも睡眠障害のひとつです。

夜泣きは生後数週間から出現し、乳幼児期を通じて続くこともあります。激しい場合には、1日あたり数時間、1週間に2、3日以上も夜泣きが認められるような場合もあります。

夜驚症は2、3歳以後に現れることが多く、通常は思春期までには自然に消失します。いわゆる“寝ぼけ”と同じものと考えてよく、入眠後だいたい2時間以内に突然、出現します。深夜や早朝に起こることはほとんどありません。

原因は何か

乳幼児は睡眠・覚醒のリズムが、大人のように完成していないことが関係しているともいわれていますが、確かな原因はわかっていません。親の育て方との関係もとくに指摘されていません。

ただし、夜驚症ではいわゆる誘因といわれるものが存在することが時々あります。誘因として多いのは、怖いテレビやアニメを見た、学校や幼稚園で叱られた、友だちと興奮して遊んだ、などのように何らかの刺激になるような出来事です。

症状の現れ方

夜泣きの激しさの程度や続く時間は、子どもによってさまざまです。「抱いていないと泣き叫ぶために、ベッドに下ろせない」などのように激しい場合もあります。

夜驚症は、(1)睡眠中に突然、覚醒する、(2)入眠後2時間以内が多い(少なくとも睡眠の最初の3分の1で出現)、(3)強い恐怖の表情や動作を示し、汗をかき呼吸や脈が荒い、(4)家族が起こしても反応が遅い、(5)本人に翌朝に尋ねてもエピソードを覚えていない、などの特徴があります。

検査と診断

検査はほとんど必要ありませんが、てんかんとの鑑別が必要な場合には脳波検査を行います。夜泣きであっても、夜驚症であっても、診断は症状の出現の仕方や時間帯などを両親から丁寧に聴き取ることができれば、それほど難しいことではありません。

治療の方法

夜泣きはとくに治療の対象とせず、経過を観察していくことが一般的です。ほとんどは乳幼児期のある時期に消失します。夜驚症もとくに治療の対象とせず、経過をみていきます。前に述べたように思春期までには消失するので、家族、とくに母親の不安を取り除くようにすることが重要です。

しかし夜驚症と同時に家や窓から出て行こうとする、階段から落ちそうになるなどの行動を伴い危険な場合や、宿泊を伴う学校行事に参加する場合などは、治療の対象となります。その場合には少量のベンゾジアゼピン系薬剤を使用することがまれにありますが、一時的な使用とされています。

病気に気づいたらどうする

夜泣きだけでなく、ほかにも育児のうえでの心配事(発達全般、離乳など)があれば専門家に相談してください。また夜泣きが激しい場合には、抱っこなどのお世話を家族に助けてもらい、できるだけ育児を楽しめるようにすることが大切です。

夜驚症は大人がまだ起きている時間帯に発生するので、母親だけでなく家族で見守ることによって、母親の不安や負担を軽くすることができます。また誘因がはっきりしている場合には、できるだけ誘因になる刺激を避けるようにすることもひとつの方法です。

いずれにしても、夜泣きも夜驚症もほとんどが時期がくれば消失するものですから、過度に心配しないで、できるだけ楽しく育児ができるように工夫することが大切です。

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