病気事典[家庭の医学]
とうぶなんぶそしきそんしょう(こぶ)
頭部軟部組織損傷(こぶ)
頭部軟部組織損傷(こぶ)について解説します。
執筆者:
慶應義塾大学医学部救急医学専任講師
並木 淳
どんな外傷か
頭部で重要な臓器は頭蓋骨(ずがいこつ)で守られている脳なので、頭蓋骨の外側の外傷である頭部軟部組織損傷は、基本的には手足の打撲(だぼく)と変わりません。内出血や打撲による浮腫(むくみ)などのためにはれてこぶになりますが、通常はとくに治療の必要はなく、数日でこぶが消えるとともに痛みも引いていきます。
応急処置はどうするか
受傷直後は冷たいタオルなどで冷やしたほうがはれ(こぶ)が軽くなることがあり、痛みも軽くなる場合もあります。はれや痛みがある間は、スポーツをひかえて入浴も短時間にします。
ただし、1歳未満の乳児で打ち身やこぶが直径5㎝を超える場合は、救急車を呼んでください。
特殊なこぶ‐帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかけっしゅ)
頭蓋骨の上に帽子状にある腱膜(筋肉を骨に付けているすじ(、、)が膜状に広がった組織)と頭蓋骨の間は結合がゆるくはがれやすいため、そこに血がたまって血腫(出血が1カ所に塊となってたまった状態)をつくり、受傷数日後には流動性になってぶよぶよしたこぶになることがあります。触るとその部分が陥没しているように感じることもありますが、頭蓋骨が陥没しているわけではありません。
この部位の血腫は吸収が悪いため、脳神経外科で細い針を刺して血腫を抜き、圧迫して血がたまらないようにする処置が必要になることがあります。この処置は数回を要する場合もあります。
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