病気事典[家庭の医学]

たいしゃいじょうとせいかつしゅうかんびょう

代謝異常と生活習慣病

代謝異常と生活習慣病について解説します。

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解説(概論)

私たちの体は、食事として糖質・脂肪・蛋白質・ビタミン・ミネラルを摂取し、これらの栄養素で体を構成して、その一部をエネルギーとして利用することで成り立っています。

この代謝の過程は多くの酵素で仲介され、また多くのホルモンがその調節に関わっています。これら一連の代謝の異常で多くの病気が引き起こされてきます。

その代表的なものが、肥満や糖尿病、脂質異常(ししついじょう)です。

代謝異常と生活習慣

肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)は、遺伝的素因に、過食(エネルギーや脂肪、アルコールの過剰摂取など)や運動不足など現代人のライフスタイルが大きな影響を及ぼします。これらの病気はお互いに合併しやすく、動脈硬化症(どうみゃくこうかしょう)を促進し、脳血管障害や心疾患のリスクを相乗的に高めることになります。

悪性新生物(がん)に次いで、日本人の死因の第2位と第3位を占めるこれらの両疾患を減らすことが緊急の課題とされ、「健康日本21」では生活習慣病の治療、さらには予防へ向けた取り組みがなされつつあります。

これら生活習慣病のなかでも、BMI25を超える肥満者(15歳以上)は、厚生労働省の2004年の国民栄養調査によれば、30〜60代の男性で約30%、40〜60代の女性で20〜30%を占め、おそらく2300万人に達しています。ここ20年間で15〜40歳の男性ではほぼ2倍に達しています。

糖尿病患者もますます増加しており、2007年の糖尿病実態調査では、糖尿病が強く疑われる人が890万人に達し、糖尿病の可能性を否定できない人が1320万人にのぼり、併せて実に2210万人に達するといわれます。40代以上では、3人に1人以上が糖尿病あるいは予備軍ということになります。

2006年国民健康・栄養調査によると、高血圧は20歳以上の男性の53.2%、女性の39.6%、約3970万人と推定されます。また、脂質異常症は20歳以上の男性の16.9%、女性の15.0%、約1410万人と推定されます。ただし、この調査ではLDL-コレステロールを測定していないため、推計値を加えて算出すると、男性の47.7%、女性の38.6%、4220万人が脂質異常症となります。

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