病気事典[家庭の医学]
きゅうせいぼうこうえん
急性膀胱炎
急性膀胱炎について解説します。
執筆者:
長崎大学病院血液浄化療法部助教 西野友哉
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座准教授 古巣 朗
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座教授 河野 茂
どんな病気か・原因は何か
一般に、膀胱炎といえば急性膀胱炎のことを指します。
膀胱炎のほとんどは、尿道から侵入した細菌の感染が原因で起こり、その多くは大腸菌によるものです。
女性は男性と比較して尿道が短く、肛門や腟が尿道から近いところにあるため不潔になりやすく、細菌が侵入しやすいという特徴から、とくに女性に起こりやすい病気です。誘因としては、長時間トイレをがまんする、性行為、過労などによる抵抗力の低下、ストレスなどがあげられます。
細菌以外の原因としては、ウイルス感染、放射線、薬剤によるものなどがありますが、頻度はそれほど多くありません。
症状の現れ方
突然の頻尿(ひんにょう)、排尿時の痛み、とくに排尿終了時の強い痛み、尿の混濁が現れ、残尿感、下腹部痛、尿失禁、血尿などを伴うことがあります(表23)。一般に発熱は伴わず、高熱や腰痛が現れた場合には、腎臓にまで炎症が及んでいる可能性があります(腎盂腎炎(じんうじんえん))。
検査と診断
尿に混濁がみられ、尿検査では膿尿(のうにょう)・細菌尿(尿中に白血球・細菌が混入したもの)が認められます。通常、血液検査やX線検査では異常は認められず、臨床症状と尿検査から診断されます。
治療の方法
抗菌薬(セフェム系やニューキノロン系など)を3日~1週間程度内服します。通常は、1週間以内に症状が改善します。また、治療中は十分な水分摂取を心がけ、尿量を増やすようにします。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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