病気事典[家庭の医学]
ぼうこういぶつ
膀胱異物
膀胱異物について解説します。
執筆者:
長崎大学病院血液浄化療法部助教
西野友哉
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座准教授
古巣 朗
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座教授
河野 茂
どんな病気か・原因は何か
何らかの原因で膀胱内に異物が入ったものです。いたずらや自慰(じい)行為のため、体温計、ろうそく、鉛筆、針金、チューインガム、電線、ヘアピン、乾電池などが尿道から膀胱内に入り、それを出せなくなった状態です。
そのほか、魚の骨が腸を突き抜けて膀胱に入る場合や、手術の際に使用した糸などが膀胱内に残る場合もあります。尿道カテーテル留置中に、膀胱内でカテーテルが損傷した場合などにも膀胱異物となります。
症状の現れ方
膀胱異物は膀胱炎の原因となります。症状として頻尿(ひんにょう)、排尿時疼痛、血尿が出現し、残尿感、下腹部痛、血尿などを伴うこともあります。
膀胱内に異物がある場合には、細菌などの病原体がつきやすいため、抗菌薬を投与しても完治しにくいことが多く、慢性膀胱炎の原因になります。また、膀胱異物が核となり膀胱結石ができることもあります。
治療の方法
可能であれば膀胱鏡で除去しますが、異物の大きさや形状によっては非常に困難な場合もあります。放置すれば膀胱炎、膀胱結石、膀胱穿孔(せんこう)などの可能性があり、膀胱鏡で除去できない場合には開腹手術を行うこともあります。
病気に気づいたらどうする
頻尿、排尿時疼痛、尿混濁、血尿、残尿感、下腹部違和感などの膀胱炎症状が続いたり繰り返したりする場合には、これまでの泌尿器系の病気の有無や生活習慣などをきちんと話し、泌尿器科の専門医に相談してください。また、異物を尿道内に入れることは避けなければなりません。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。