病気事典[家庭の医学]
ほうじょうきたい
胞状奇胎
胞状奇胎について解説します。
執筆者:
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科長・准教授
坂井昌人
どんな病気か
胞状奇胎は異常妊娠のひとつで、受精卵から胎盤のもとになる絨毛組織(じゅうもうそしき)が正常に発育せず、絨毛が水ぶくれの状態(嚢胞化(のうほうか))になるものです。
全胞状奇胎では、子宮内はブドウの房のように嚢胞化した絨毛組織と出血で充満します。部分胞状奇胎では、一部に正常な絨毛組織や胎児の成分がみられます。
嚢胞化した絨毛組織は、子宮内から除去することが必要ですが、8%ほどは侵入奇胎(しんにゅうきたい)といって子宮筋内に入り込んで存続したり、3~5%ほどは胞状奇胎のあとに絨毛がんが発生することもあるため、除去後も経過を観察することが重要です。とくに40歳以上では侵入奇胎、絨毛がんの発生率が上昇します。
検査と診断
妊娠のごく初期ではわかりませんが、超音波検査で子宮内を調べると、子宮内に胞状奇胎の小嚢胞が充満しています。
正常な絨毛組織は妊娠ホルモンを分泌しますが、胞状奇胎も同じホルモンを分泌し、正常妊娠と比べ、非常に多量に分泌することもしばしばです。尿中の妊娠ホルモンを測定することが重要です。
治療の方法
子宮摘出が安全度の高い方法ですが、子どもが欲しい人や若い人は、子宮内の奇胎組織を子宮口から取り出し、内腔をきれいにする手術をします。
術後は、尿中または血中の妊娠ホルモンが順調に低下し、再上昇しないか、数カ月以上観察します。
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情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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