病気事典[家庭の医学]
たんじゅんせいこうじょうせんしゅ
単純性甲状腺腫
単純性甲状腺腫について解説します。
執筆者:
東京女子医科大学東医療センター小児科教授
杉原茂孝
どんな病気か
単純性甲状腺腫という病名は欧米の医学書にはあまり載っていません。日本では、甲状腺機能が正常で炎症や腫瘍などによらない、びまん性の甲状腺腫で、現在までに原因の明らかでないものを単純性甲状腺腫と呼んでいます。
原因は何か
何らかの原因によって生体に必要な甲状腺ホルモンの不足状態が生じ、甲状腺が代償性に(補うために)肥大した状態と考えられます。思春期の甲状腺ホルモン需要の増大、地域的なヨード欠乏、ヨード過剰摂取、甲状腺ホルモン合成酵素の軽度の障害、甲状腺腫大を来す薬物の内服、などが考えられます。
治療の方法
原則として治療する必要はありません。ヨードの過剰摂取や甲状腺の腫大を来す薬物の内服がある場合は、それを是正します。甲状腺腫の大きいものは、その縮小を目的として、甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(チラーヂンS錠、散)の内服を試みることもあります。
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