病気事典[家庭の医学]

あれるぎー疾患

アレルギー疾患

アレルギー疾患について解説します。

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アレルギーとは

生体は体に侵入した異物(抗原(こうげん))に対して抗体(こうたい)や感作(かんさ)リンパ球をつくり、異物が再び侵入した時にそれを処理して、無害化する能力をもっています。これが免疫反応であり、生体の防御機構のなかでも極めて重要なものです。

しかし、状況によっては免疫反応によって生体に障害を起こすことがあり、この場合をアレルギー反応といいます。また、I型アレルギー反応(後述)の原因になる抗原をアレルゲンと呼んでいます。

アレルギー疾患とは

アレルゲンと接触すると、I型アレルギー反応によってただちに症状を起こす一群の病気があります。これらがアレルギー疾患と呼ばれるもので、本章で扱う気管支喘息(きかんしぜんそく)、花粉症(かふんしょう)・鼻(び)アレルギー、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなどが該当します。

これらの病気は、あとで述べる免疫グロブリンE(IgE)抗体が発症の引き金となります。IgE抗体をつくりやすい体質をアトピー素因といいます。アレルギー疾患、別名アトピー性疾患には、それゆえに遺伝性があることが知られています。

アレルギー疾患の現況

アレルギー疾患に悩む人は、近年世界的にも著しく増えています。日本の厚生省(当時)アレルギー総合研究事業の全国調査(1992〜1997年)によれば、何らかのアレルギー疾患をもっている人は乳幼児で28・3%、小・中学生で32・6%、成人で30・6%と、ほぼ3人に1人という高率であることが報告されています。すなわち、日本には3000万〜4000万人の患者さんがいると考えられます。

しかし、アレルギー疾患が注目されるようになったのは、ここ30年くらいのことです。たとえばスギ花粉症は1960年代半ばに初めて報告されたのですが、今では全成人の25%を超す高い有症率とされています。また患者数の増加は現在でも続いており、近い将来には全国民の50%以上が、アレルギー症状に悩む可能性もあります。

新たなアレルギー疾患

気管支喘息、スギ花粉症、アトピー性皮膚炎などは古くから知られている病気ですが、それ以外にも新しいアレルギーの病気が注目されています。本章のコラムなどで扱う食物依存性運動誘発性アナフィラキシー、口腔アレルギー症候群、ラテックスアレルギーがその代表的なものです。また今後も新たなアレルギー疾患が現れてくる可能性があります。

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