病気事典[家庭の医学]
しーがたかんえんういるす(えいちしーぶい)
C型肝炎ウイルス(HCV)
C型肝炎ウイルス(HCV)について解説します。
執筆者:
山梨県立病院機構理事長
小俣政男
山梨県立中央病院内科主任医長
廣瀬雄一
C型肝炎ウイルス(HCV)の解説(コラム)
C型肝炎ウイルス(HCV)が発見されたのは、1989年のことです。
HCVに冒された肝細胞は、免疫機能によって破壊されては再生しています。この修復の過程で、肝臓では10〜30年以上かけて線維化(皮膚の傷跡のように、元どおりに再生せず硬くなってしまうこと)が進み、次第に肝臓は「結節(けっせつ)」(こぶ)ができて硬くなっていきます。
肝線維化の程度を表す指標にはF分類があり、おおむね年間発がん率はF1(軽度)で0・5%未満、F2(中度)で1・5%、F3(高度)で5%、F4(肝硬変)で8%と線維化が進むほど発がん率が上がることがわかってきました(図1)。
また、HCVの感染により、肝臓以外の臓器も冒されることがまれにあります。HCV感染はクリオグロブリン血症による腎炎、HCV腎炎、心筋症、リンパ腫、シェーグレン症候群(ドライアイ、ドライマウス)、晩発性皮膚(ばんはつせいひふ)ポルフィリン症(しょう)(光線過敏性皮膚炎など)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、糖尿病などの原因になりうることが知られています。
HCV感染のほとんどは血液を介したものです。輸血や手術などで使われた血液製剤によって感染したと思われる場合が多く、ほかに注射針を介しての感染が考えられます。
いずれもHCVの存在がわからなかった時代のことで、今は検査法も確立されているのでこうした感染はまず心配ありません。ただ現在でも刺青(いれずみ)・薬物注射といった行為で他人と器具を共有すれば、感染の可能性はあります。
自分がC型肝炎ウイルスに感染していることに気づいていない人は、まだまだたくさんいます。40歳以上で過去に輸血や手術を受けたことのある人、若い人で刺青などで他人と器具を共有したことのある人で、C型肝炎ウイルス検査を受けたことのない人は、一度調べてみてください。検査は保健所でも可能ですし、検査費補助のある自治体もあります。
- 肝臓・胆嚢・膵臓の病気を小分類から探す
肝臓・胆嚢・膵臓の病気を読んだ人によく読まれている記事
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。