病気事典[家庭の医学]
あれるぎーはんのうのぶんるい
アレルギー反応の分類
アレルギー反応の分類について解説します。
執筆者:
白浜町国民健康保険直営川添診療所所長
中川武正
解説(概論)
アレルギー疾患は、アレルギー反応が引き金となって症状が現れます。アレルギー反応は、原因になる抗体の種類やリンパ球により、次の4つの型に分類されます。
(1)I型アレルギー反応(即時型(そくじがた)、アナフィラキシー型)
(2)II型アレルギー反応(細胞傷害型(さいぼうしょうがいがた)、細胞溶解型(さいぼうようかいがた))
(3)III型アレルギー反応(免疫複合体型(めんえきふくごうたいがた)、アルサス型)
(4)IV型アレルギー反応(遅延型(ちえんがた)、細胞免疫型(さいぼうめんえきがた))
I型アレルギー反応
先に述べたアレルギー疾患は、この型の反応が主として関係します。IgEという免疫グロブリンに属する抗体が、組織中のマスト(肥満)細胞や血液中の好塩基球の表面に固着し、そこでアレルゲンと結合すると、細胞内のカルシウムが増え、さまざまな化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなど)を放出します。
これらの化学伝達物質は、気管支の平滑筋(へいかつきん)を収縮させて粘膜のむくみ(浮腫)を来して喘息発作を起こし、鼻粘膜に作用して鼻水やくしゃみを生じさせ、皮膚の毛細血管の透過性(とうかせい)を増してじんま疹を起こすのです。
これらの変化は、アレルゲンとの反応直後から起こるために即時型反応と呼ばれますが、そのあとは好酸球が作用して炎症を局所に起こす遅発型反応が生じます。
その他のアレルギー反応
II型アレルギー反応は、末梢血液成分などの細胞膜に結合した薬剤などが抗原になり、免疫グロブリンG・M(IgG・IgM)抗体が補体(ほたい)の活性化を介して細胞傷害を起こすもので、後天性溶血性(ようけつせい)貧血が代表的な疾患です。補体とは、血清中にある蛋白質で、免疫や炎症などに関係して生物活性を示し、抗体の作用を補完するものです。
III型アレルギー反応は血清病が典型で、流血中のIgG抗体と抗原が免疫複合体をつくり、血管内膜などに付着し、補体を活性化して好中球などを集めてきて、局所の炎症を起こします。
IV型アレルギー反応はツベルクリン反応が典型です。この型の反応には抗体は関係せず、抗原は感作リンパ球からサイトカインを遊離させ、局所にマクロファージなどの炎症細胞を集めてきて遅延型炎症を起こします。
本章で扱う病気のうち、薬物アレルギーにはI〜IV型が、過敏性肺炎にはIII+IV型が、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症にはI+III型が、アレルギー性接触皮膚炎にはIV型が主として関係しているとされています。
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