病気事典[家庭の医学]
たんじゅんせいじんのうほう
単純性腎嚢胞
単純性腎嚢胞について解説します。
執筆者:
順天堂大学医学部腎臓内科学准教授
来栖 厚
どんな病気か
片側あるいは両側の腎臓に1~数個の嚢胞(嚢胞液という液体が詰まっている袋)ができる病気です。通常は無症状でほとんど問題になりませんが、嚢胞による圧迫症状や高血圧、水腎症、血尿を来す時は、嚢胞液を穿刺吸引後にアルコールなどで固定したりするなどの外科的処置が必要となることもあります。
原因は何か
ネフロン閉塞や起因する嚢胞、あるいは遠位尿細管や集合管の小憩室が成長したものなどが原因として考えられています。単発あるいは多発性の嚢胞が加齢とともに増加し、60歳以上ではしばしばみられます。
症状の現れ方
孤立性の大きな嚢胞ができた場合は、時に圧迫症状を呈することもあります。また腎盂(じんう)の近くにできたものは水腎症(すいじんしょう)を来しやすく、水腎症を起こすと尿が停滞し、腎盂は腫大して嚢状となります。腫大した腎盂により腎実質が圧迫されると、次第に腎実質が薄くなり(乏しくなり)、腎機能障害が生じます。
検査と診断
腎がんが腎嚢胞に合併したり、腎がんが嚢胞化することがあります。悪性腫瘍を否定するために、CTや超音波検査を行います。
悪性腫瘍が疑われればMRI、血管造影、嚢胞穿刺(せんし)(針を刺す)による組織診断を行います。良性の単純性腎嚢胞と診断がつき、症状がなければ経過をみます。
病気に気づいたらどうする
健診や他の病気で医療機関を受診した際に、偶然発見されることが多いようです。病気に気づいたら、泌尿器科専門医の診察を受けてください。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。