病気事典[家庭の医学]
そうはいじょうみゃくかんりゅういじょうしょう
総肺静脈還流異常症
総肺静脈還流異常症について解説します。
執筆者:
新潟大学医学部小児科学教室助教
長谷川聡
どんな病気か
肺で酸素化されたすべての血液が、本来の左心房ではなく別の場所(上大静脈や下大静脈、あるいは右心房)に還流している状態です(図15)。全身からも肺からも、すべての血液が結果的に右心房に集まり、そのうちの一部が心房間の穴(胎児期の名残の卵円孔)を通って左心房に抜け、左心室を通って全身へとまわります。頻度は全先天性心疾患の約0・3~2%です。
原因は何か
心臓の発生の過程で、肺の一部として形成される肺静脈と、心臓の一部として形成される左心房になるべき場所が、何らかの原因でひとつになれなかったためといわれています。行き場を失った肺静脈は、なんとか別の出口を探して上大静脈などに開口します。
症状の現れ方
出生直後からチアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になること)が認められます。肺静脈の出口が狭いと肺内の血流が滞り(肺うっ血)、呼吸状態が悪くなります。
まれですが、これらの問題がない場合は、生後数カ月間状態が安定していることもあります。
治療の方法
出生後早期に症状が急激に進行するため、診断がついたら多くは緊急手術になります。肺静脈を左心房につなぎ直す手術を行います。
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情報提供元 :
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