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やーぼいてんてきじょうちゅうえき

ヤーボイ点滴静注液

注射薬

処方薬情報の見方

種別

注射薬

大分類/中分類

がんに使われる注射薬/分子標的治療薬

解説タイトル

ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体

一般名 解説

イピリムマブ(遺伝子組み換え)
この薬の先発薬・後発薬を全て見る

剤形/保険薬価 解説

注射用剤 / 20mg4mL 1瓶 170,598.00円
注射用剤 / 50mg10mL 1瓶 419,578.00円

製薬会社 解説

ブリストル

先発/ジェネリック 解説

先発品

分類 解説

ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体

規制 解説

劇薬

使用量と回数 解説

識別コード 解説

その他 解説

「識別コード」は、薬の包装材や本体に数字・記号で記載されています。

※以下は同じ 解説タイトルで共通の解説です。[]内は一般名で、それぞれに該当する内容が書かれています。

処方目的 解説

[イピリムマブの適応症]根治切除不能な悪性黒色腫/根治切除不能または転移性の腎細胞がん/がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん/切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん/切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫/根治切除不能な進行・再発の食道がん/[トレメリムマブの適応症]切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん/切除不能な肝細胞がん

解説 解説

本剤は,がんの治療法の一つ「がん免疫療法」に用いる薬剤で,「免疫チェックポイント阻害薬」として世界で初めて承認されたものです。ヒトの免疫システムには,がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)という免疫細胞が備わっていますが,一方,がん細胞にもこのCTLの活性を低下させて攻撃されないようにするシステムがあり,これを「免疫チェックポイント」といいます。本剤はこの免疫チェックポイントを阻害することでCTLを再び活性化させ,がん細胞を攻撃するように働きかけます。
イピリムマブおよびトレメリムマブはともに,ヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を標的とするヒトモノクローナル抗体です。
イピリムマブは,悪性黒色腫に対しては本剤単独療法,もしくはニボルマブ(抗ヒトPD-1(PD-L1)モノクローナル抗体)との併用療法,腎細胞がん,結腸・直腸がん,非小細胞肺がん,悪性胸膜中皮腫,食道がんにはニボルマブとの併用療法,非小細胞肺がんはさらに「イピリムマブ+ニボルマブ+化学療法(プラチナ製剤を含む)」で治療することもあります。トレメリムマブの場合は,非小細胞肺がん,肝細胞がんのどちらもデュルバルマブ(抗ヒトPD-1(PD-L1)モノクローナル抗体)との併用療法,非小細胞肺がんはさらに白金系抗悪性腫瘍薬を含む他の抗悪性腫瘍薬との3剤併用療法が行われます。

使用上の注意

警告 解説

(1)本剤は,緊急時に十分に対応できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識・経験をもつ医師のもと,本剤が適切と判断される人にのみ使用されるべき薬剤です。また,治療に先立ち,医師からその有効性,危険性について十分な説明を受け,患者および家族が納得・同意したのち使用を開始しなければなりません。
(2)[イピリムマブ]本剤の投与により,重篤な下痢,大腸炎,消化管穿孔(せんこう)が現れることがあり,本剤の投与終了から数カ月後に発現し,死亡に至った例も報告されています。投与中だけでなく,投与終了後も観察を十分に行い,異常が認められた場合には副腎皮質ホルモン薬の投与などの適切な処置を行います。
(3)[トレメリムマブ]間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)が現れ,死亡に至った症例も報告されているので,初期症状(息切れ,呼吸困難,せき,発熱など)に十分注意し,異常が認められた場合には直ちに医師に報告しなければなりません。

基本的注意 解説

*両剤の添付文書による

(1)使用してはいけない場合……本剤の成分に対するアレルギーの前歴
(2)慎重に使用すべき場合……自己免疫疾患の合併または慢性的もしくは再発性の自己免疫疾患の前歴/高齢者/[イピリムマブ]臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)のある人/重度の肝機能障害/[トレメリムマブ]間質性肺疾患またはその前歴
(3)Infusion reaction……注射や点滴を行った後,24時間以内に多く現れる症状などをInfusion reaction(急性輸液反応,注入反応)といい,アナフィラキシー,発熱,悪寒,かゆみ,発疹,高血圧,低血圧,呼吸困難などが現れることがあります。
(4)避妊……妊娠する可能性のある人は,本剤の使用中および使用後の一定期間,適切な方法で避妊してください。本剤の使用によって胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他……
・妊婦での安全性:有益と判断されたときのみ使用。
・授乳婦での安全性:治療上の有益性・母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続・中止を検討。
・小児での安全性:未確立。(「薬の知識」共通事項のみかた

重大な副作用 解説

(1)大腸炎,消化管穿孔(せんこう)。(2)重度の下痢。(3)肝不全,肝機能障害,肝炎。(4)中毒性表皮壊死融解症(TEN),皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),薬剤性過敏症症候群などの重度の皮膚障害。(5)下垂体機能障害(下垂体炎,下垂体機能低下症など)。(6)甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症など)。(7)副腎機能障害(副腎機能不全など)。(8)末梢神経障害(末梢性ニューロパチー,多発ニューロパチー,ギラン・バレー症候群など)。(9)腎障害(尿細管間質性腎炎,糸球体腎炎,腎炎,腎不全など)。(10)間質性肺疾患。(11)筋炎。(12)心筋炎。(13)Infusion reaction(急性輸液反応,注入反応)。
[イピリムマブ](14)急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群,肺臓炎など。(15)ぶどう膜炎。
[トレメリムマブ](16)膵炎。(17)脳炎。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。

その他の副作用 解説

[イピリムマブ:単独投与の場合]
(1)おこることがある副作用……そう痒症,発疹,そう痒性皮疹,全身性皮疹,斑状丘疹状皮疹,紅斑,全身性そう痒症,尋常性白斑,脱毛症,寝汗,皮膚炎,湿疹,じん麻疹,皮膚剥脱(はくだつ),皮膚乾燥,白血球破砕性血管炎,毛髪変色/悪心,嘔吐,腹痛,腹部不快感,下腹部痛,便秘,放屁,胃腸出血,胃食道逆流性疾患,食道炎,腹膜炎,胃腸炎,憩室炎,膵炎,腸炎,胃潰瘍,大腸潰瘍,イレウス,口内炎/甲状腺機能亢進症/肝炎,肝腫大,黄疸/糸球体腎炎,腎尿細管性アシドーシス/せき,呼吸困難,呼吸不全,肺浸潤,肺水腫,アレルギー性鼻炎/関節痛,筋肉痛,背部痛,頸部痛,関節炎,筋骨格痛,筋痙縮(けいしゅく),リウマチ性多発筋痛/疲労,発熱,悪寒,無力症,倦怠感,浮腫,体重減少,インフルエンザ様疾患,局所腫脹,注射部位疼痛,注射部位反応,粘膜の炎症,疼痛,多臓器不全,全身性炎症反応症候群/食欲減退,脱水,腫瘍崩壊症候群/霧視,眼痛,硝子体出血,視力低下,結膜炎,眼の異物感,フォークト・小柳・原田症候群/頭痛,味覚異常,末梢性ニューロパチー,末梢性感覚ニューロパチー,浮動性めまい,嗜眠(しみん),失神,構語障害,脳浮腫,脳神経障害,運動失調,振戦,ミオクローヌス,重症筋無力症様症状,髄膜炎/錯乱状態,精神状態変化,うつ病,リビドー減退/潮紅,ほてり,血管炎,血管障害,末梢性虚血,不整脈,心房細動/感染症(尿路感染,気道感染など)/無月経
(2)検査などでわかる副作用……リパーゼ上昇,血中アミラーゼ上昇/性腺機能低下,血中甲状腺刺激ホルモン上昇,血中コルチゾール減少,血中コルチコトロピン減少,血中テストステロン減少,血中プロラクチン異常/AL-P・ビリルビン・γ-GTP上昇/血中クレアチニン上昇/低カリウム血症,低ナトリウム血症,低リン酸血症,アルカローシス/低血圧,起立性低血圧/貧血,溶血性貧血,リンパ球減少症,好中球減少症,血小板減少症,好酸球増加症
[トレメリムマブ]
(1)おこることがある副作用……発疹,かゆみ,皮膚炎/せき・湿性のせき,肺炎,発声障害,上気道感染,インフルエンザ/口腔カンジダ,歯周病(歯肉炎),口腔感染/排尿困難/下痢,腹痛/発熱,筋肉痛,末梢性浮腫,寝汗
(2)検査などでわかる副作用……TSH上昇,TSH低下/アミラーゼ増加,リパーゼ増加

併用してはいけない薬 解説

併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。

注意して併用すべき薬

海外評価 解説

プレグナンシー・カテゴリー 解説

  • PC
  • C

[ご利用上の注意]
薬の服用にあたっては、必ず処方する医師、薬剤師の指示、又は製薬会社の説明書にしたがって下さい。 また、自分が疑っていた副作用が本書に記載してあるからといって、自己判断で服用をやめたりしないでください。 疑問な点があれば、すぐに医師、薬剤師に相談して下さい。本サイトに掲載後に承認された新薬もありますので、不明な薬については、医師、薬剤師にお問い合わせ下さい。

[処方薬]は、株式会社 法研から当社が許諾を得て使用している「医者からもらった薬がわかる本 第33版(2024年2月改訂デジタル専用版)」の情報です。掲載情報の著作権は、すべて 株式会社 法研 に帰属します。

データ更新日:2024/04/26