病気事典[家庭の医学]
とうしつたいしゃいじょうしょう
糖質代謝異常症
糖質代謝異常症について解説します。
執筆者:
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学講師
岡野善行
どんな病気か
ミルクに含まれる糖質は乳糖からなり、小腸でガラクトースとグルコースへ消化されます。ガラクトース代謝に関係する3種類の酵素異常症により、血液中にガラクトースやガラクトース‐1‐リン酸が蓄積します。このほかにも、肝障害や血管の走行異常(大循環‐門脈シャント)、糖質の吸収障害によってもガラクトースが高値になります。
症状の現れ方
ガラクトース血症1型は、生後まもなく嘔吐、下痢、哺乳不良、黄疸(おうだん)などを生じ、肝不全、感染症を発症します。白内障(はくないしょう)、知能障害も引き起こします。
2型は、白内障が唯一の症状といわれています。3型は通常、無症状です。
治療の方法
ガラクトース除去ミルク、乳製品・乳糖除去食による食事療法を行います。
糖原病(とうげんびょう)
どんな病気か
消化管から吸収された糖質は、糖原(グリコーゲン)として肝臓を中心に体内に蓄えられます。このグリコーゲン代謝に関係する酵素異常により、主に肝臓に糖原が蓄積する肝型と、筋症状が特徴的な心・筋型が知られています。
症状の現れ方
肝型糖原病では、肝内に蓄えられたグリコーゲンが利用できないために、肝腫大と低血糖が現れ、次第に低身長が顕著になります。病型により鼻出血が止まりにくい、感染しやすいなどの症状が現れ、痛風(つうふう)、尿路結石、腎不全、肝腺腫(かんせんしゅ)を来すこともあります。
心・筋型では、筋力低下や心不全を来します。
治療の方法
肝型は、頻回に食事をしたり、体内でゆっくりと消化吸収されるコーンスターチ(β(ベータ)でんぷん)や糖原病用ミルクを使用した食事療法と、各症状に即した治療を行います。
心・筋型では、対症療法に加え、欠損酵素の補充療法が行われる場合もあります。
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