病気事典[家庭の医学]
ていしゅうはくうきしんどう
低周波空気振動
低周波空気振動について解説します。
執筆者:
前栃木産業保健推進センター所長
松井寿夫
低周波空気振動の解説(コラム)
振動する物体から空気を媒体として伝播する、周波数0・1〜20Hz(ヘルツ)の音を超低周波音といいます。ヒトの可聴音は20〜2万Hzなので、この超低周波音はヒトの耳には聞こえません。環境省では、100Hz前後までの低い周波数範囲の可聴音を含めて低周波空気振動と定義しています。
低周波音は波長が長いため(10Hzで340m)、障害物による減衰が少なく、比較的遠距離まで伝播します。その強さはdB(デシベル)値で表されます。発生源は地震、雷、火山の爆発、海の波などの自然的なものと、工場の機械(大型コンプレッサー、振動ふるい、送風機など)、交通機関(高速道路の架橋、新幹線のトンネル、ソニックブーム:音速以上で飛行する航空機によって発生する衝撃波)などの人工的なものとがあります。
生活環境への影響として、窓、建具などの振動がみられます。人体への影響としては耳鳴り、頭痛、動悸(どうき)やいらいら、うるささが生じるといわれています。しかし、低周波空気振動に対する鋭敏度には個人差が大きく、かつ障害の固有症状はないとされています。予防対策には、発生源対策として、発生源の位置の変更、機械の小型化、住民側の対策として窓ガラスや障子などの防振対策、防音装置の設置があります。
中毒と環境因子による病気を読んだ人によく読まれている記事
中毒と環境因子による病気でよく読まれている解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。