病気事典[家庭の医学]

びだーるたいせん

ビダール苔癬

ビダール苔癬について解説します。

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どんな病気か

体の一部に限って丘疹(きゅうしん)(ぶつぶつ)が現れ、かくなどの刺激によって丘疹が次第にくっつき合って盛り上がった紅斑(こうはん)になり、慢性に続く皮膚炎です。

原因は何か

衣服や毛髪など何らかの刺激によってかゆみが生じ、繰り返し同じ部位をかくことで皮膚炎の局面が次第に拡大・くっつき合っていくものと考えられています。

刺激に敏感な乾燥肌の人に起こりやすく、透析を受けている人や糖尿病の人にもみられることがあります。また、イライラした時などに無意識に皮膚の決まった場所をかく癖が原因になる場合もあります。

症状の現れ方

女性にやや多く、首の横からうなじに症状が現れるのが典型的ですが、前腕や下腿、まぶたや陰嚢(いんのう)などにもみられることがあります。症状はまずかゆみの強い丘疹で始まり、かくことなどの刺激によって次第にくっつき合って盛り上がった楕円形の厚い紅斑になり、表面は乾燥しています。

検査と診断

うなじや腕・脚などに現れるかゆみの強い盛り上がった紅斑が特徴的で、皮膚科を受診すれば、ほとんどは簡単に診断できます。尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、アトピー性皮膚炎接触皮膚炎扁平苔癬(へんぺいたいせん)などとの区別が必要な場合に、パッチテストや皮膚の生検を行うこともあります。

治療の方法

ステロイド外用薬を塗ります。かゆみが強い場合にはかゆみを和らげる抗ヒスタミン作用のある内服薬を服用します。ステロイドをしみ込ませたテープを貼るのも有効です。

病気に気づいたらどうする

かく癖や衣服との摩擦(まさつ)などかゆみのきっかけになるような刺激がないかどうかを考え、その刺激を避けることが第一です。衣服は柔らかい繊維のものにし、かゆみを悪化させる過度の飲酒をひかえましょう。かゆみがおさまっても、皮膚の盛り上がりやかさかさが残っている時点で治療を中断すると、症状が再燃することが多いので、病変が完全に軽くなるまで外用を続けることが大切です。

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