病気事典[家庭の医学]
へんぺいたいせん
扁平苔癬
扁平苔癬について解説します。
執筆者:
島根大学医学部附属病院皮膚科講師 金子 栄
原因は何か
原因はいまだはっきりとしていませんが、ある種のリンパ球が皮膚の細胞を攻撃するために起こる病気と考えられるようになってきました。薬剤が原因で生じた扁平苔癬のような発疹は、扁平苔癬型薬疹(やくしん)として扁平苔癬とは区別します。
過去にはカラーフィルムの現像液に触れて誘発されるものがよく知られていましたが、最近はC型肝炎やエイズウイルスなどの感染症に合併するケースが多くなっています。
症状の現れ方
扁平に隆起するエンドウマメ大までの紫紅色、多角形の発疹で、表面に鑞(ろう)のような光沢がみられます。手背や四肢に多く現れます(図30)が、体にも生じます。消退後は色素沈着を残します。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)の項で述べたように、引っかくなど外力が加わったところに同じような発疹ができるケブネル現象が現れます。口唇や口のなかの頬の粘膜に、網状の乳白色の発疹が出ることもあります。また、尋常性乾癬の場合のような爪の変形を起こすこともあります。
検査と診断
診断は特徴的な皮疹(ひしん)とその分布、経過から判断します。確定診断には、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。また、C型肝炎やエイズウイルスと関連することもあり、血液検査を行います。
薬疹として扁平苔癬になることもあるため、薬剤との関連を調べます。
治療の方法
ステロイド外用薬が多く用いられています。治りにくい場合には、ステロイド含有テープの使用や光線療法(PUVA療法)も行います。
口唇や口のなかの頬(きょう)粘膜の発疹には、ビタミンA類似物質であるレチノイド(チガソン)の内服が効果があることがあります。かゆみには抗ヒスタミン薬を使用します。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。