病気事典[家庭の医学]
せいそうしゅようとまぎらわしいびょうき
精巣腫瘍とまぎらわしい病気
精巣腫瘍とまぎらわしい病気について解説します。
執筆者:
神奈川県立がんセンター泌尿器科医長
岸田 健
精巣腫瘍とまぎらわしい病気の解説(コラム)
陰嚢がはれる病気にはたくさんの種類があり、そのなかで一番重大なのが精巣腫瘍です。泌尿器科医としてこれを見逃すわけにはいきませんが、一般の人にはまぎらわしい病気がいくつかありますので、その見分け方を簡単に紹介しましょう。
陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)は中身が液体ですから、懐中電灯をあてると透けて見えます。ただ、ごくまれに水腫のなかにがんができていることがあるので注意が必要です。
精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)、精巣炎(せいそうえん)、精索捻転(せいさくねんてん)症はどれも痛みを伴いますが、精巣腫瘍でも痛みを伴う例が1〜2割あるといわれています。
鼠径(そけい)ヘルニアはいわゆる脱腸のことで、下腹部にあいた穴から小腸が陰嚢のなかに出っぱってくる病気です。おなかに力を入れると出たり引っ込んだりすることがあれば、この病気が疑われます。
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は怒張(どちょう)した血管が透(す)けて見え、立位やおなかに力を入れた時にふくらみが強くなります。
このように症状や外観でだいたい判別がつきますが、専門家が診て精巣上体炎であると診断され治療をしてもなかなか治らず、実は精巣腫瘍であった、というような例もまれにあります。
素人判断は危険ですので、泌尿器科を受診してきちんと診断してもらうことをおすすめします。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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