病気事典[家庭の医学]

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C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療

C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療について解説します。

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C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療の解説(コラム)

1992年から始まったIFN(インターフェロン)治療(注射薬)は、多くの患者さんのウイルスを駆除することに成功しましたが、その副作用のために理想的な治療とはいえませんでした。

しかしながら、研究開発の進歩により、飲み薬で、しかも12週間でほぼ100%ウイルスを駆除する方法が登場しました。この飲み薬は、安全性も高く、ほぼ日本におけるC型肝炎患者さんの全例からウイルス駆除が可能となりました(表1)。

この飲み薬は、大きく2つの種類に分かれます。1つは、ウイルスのつくる蛋白に働きかけ、その蛋白を阻害することによってウイルスを消滅させる、あるいは減少させる蛋白阻害薬(表1の(3)、(4))と、もう1つは、ウイルスのもっている遺伝子(C型肝炎の場合はRNA)に直接入り込み、その遺伝子をずたずたに切り裂くチェイン・ターミネーター(鎖を断ち切るもの)と呼ばれる種類のもの(表1の(1)、(2))です。

前者には多くの種類があり、これらのいくつかを組み合わせることによってウイルス駆除を目的とし、後者は、その強力な抗ウイルス作用のゆえに、1種類程度の蛋白阻害薬と組み合わせることによって極めて劇的な効果をもたらします。

この2つのタイプの治療によって現在まで約20万人の患者さんの治療が行われ、外来からC型肝炎ウイルスを有した患者さんがほぼ消滅したといっても過言ではありません。これらの経口薬のうち、現在まで、もっとも使われたものはハーボニー(ソホスブビル+レジパスビル)とソバルディ(ソホスブビル)であり、慢性肝炎の治療としては、ほぼ完成されたものと考えられます。8週間投与でも治癒する場合がありますが、多くは12週間、毎日1錠飲むことによって、ウイルスが血中1ccあたり100万あったものが4週間では10個以下に激減するという効果がもたらされています。

私の外来の場合、現在までの550名の治療例で、ウイルス駆除ができなかった症例は4例ありますが、その4例もさらなる治療によってウイルスが完全に消失しました。現在、慢性肝炎に対するC型肝炎治療法としてのみならず、非代償性肝硬変にも適用拡大が行われ、これらの患者さんに対する治療も始まろうとしています。

現在まで治療した患者さんへの注意事項としては、むしろ食欲が増進し、体重が2~3kg増えて、肝臓に脂肪がたまってくる脂肪肝の兆候が現れますので、食生活に気をつける必要があると思います。なお、現在使用されている主な治療薬の名前を表1に記載しています。

・参考文献:小俣政男.夢のくすりを求めて「C型肝炎治療の最前線:ウイルス駆除率96%,1錠6万円の新薬が日本上陸」雑誌 Newton.2015年35(8):8月号 p.34‐39

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