病気事典[家庭の医学]

ちつへいさしょう

腟閉鎖症

腟閉鎖症について解説します。

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どんな病気か

腟の発生が一部で損なわれた状態です。軽度の処女膜閉鎖症(しょじょまくへいさしょう)から、腟欠損症(ちつけっそんしょう)まで、程度はさまざまです。

原因は何か

腟、子宮、それに卵管は、ミュラー管という組織が分化して、胎児の時に形作られます。ところが、たまたま分化が行われずに発育不全が起きると、子宮はわずかに痕跡(こんせき)を残す程度にしか発育せず、腟も長さが2~3㎝と短いか、まったくない状態になります。これが、先天的な腟閉鎖です。そのほか、外傷や炎症などが原因になります。

症状の現れ方

腟欠損症では子宮の発生異常も多く、思春期以降の原発性無月経(げんぱつせいむげっけい)で外来を訪れます。月経血が腟内にたまるために、下腹部痛やしこりを訴えることがあります。

検査と診断

診断は診察(内診)で行います。まれに、子宮の発生異常を合併していないかどうか、腟造影検査を行うことがあります。

治療の方法

軽度の処女膜閉鎖症では簡単な切開手術ですみますが、腟欠損症では造腟(ぞうちつ)手術が必要です。子宮に異常を伴う場合には妊娠が不可能な場合もあり、造腟手術により性交を可能にして患者さんの精神的不具感を癒すことが治療の主眼となります。20歳前後を目安に、造腟手術を行います。

病気に気づいたらどうする

婦人科医を受診してください。

関連項目

処女膜閉鎖症

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