病気事典[家庭の医学]
そうこうかかくしつぞうしょくしょう
爪甲下角質増殖症
爪甲下角質増殖症について解説します。
執筆者:
大阪赤十字病院皮膚科部長 立花隆夫
どんな病気か
爪の先端の爪床(そうしょう)側の異常(不全角化(ふぜんかくか)という爪の成長異常)によって爪甲が爪床から押し上げられるとともに、押し上げられた爪甲が厚くなった状態であり、爪床と爪甲の間にはもろくなった爪が“粉(角質塊(かくしつかい))”となって充満しています。
なお、本項では爪の解剖用語を用いるので、図104を参考にしてください。
原因は何か
多くは爪の水虫やその他の皮膚病(乾癬(かんせん)や指先の湿疹など)に伴う爪の二次的な変化として生じますが、ごくまれに先天性ないし遺伝性の爪甲下角質増殖症をみることもあります。また、爪甲下角質増殖症単独ではなく、爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)や匙型(さじがた)爪甲と合併してみられることのほうが多いようです。
症状の現れ方
(1)爪の水虫
最も一般的にみられる爪甲下角質増殖症であり、著しい爪甲下角質増殖を呈します。また、第1趾(親指)の爪に生じることが多く、爪甲表面には爪の水虫の特徴のひとつである白いにごり(白濁)を認めます。
(2)乾癬(かんせん)
爪周囲に乾癬による皮膚病変を認めます。また、頭部、腰部、下腿前面などの好発部位にも乾癬特有の皮膚病変をみることが多いようです。
(3)指先の湿疹
多くは爪のふちの変化(爪廓炎(そうかくえん))を伴います。また、爪のまわりには赤み(紅斑)やぶつぶつ(漿液性丘疹(しょうえきせいきゅうしん))などの湿疹性変化をみます。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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