病気事典[家庭の医学]

あくせいこくしょくしゅ

悪性黒色腫<皮膚の病気>

悪性黒色腫<皮膚の病気>について解説します。

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どんな病気か

悪性黒色腫は悪性度の高い皮膚がんであり、“ほくろのがん”としても広く知られています。また、色素産生能をもつため、黒褐色の平べったいあるいは盛り上がった皮膚病変となることが多いのですが、色がついていないことも、また、口腔、外陰部などの粘膜や眼の結膜などに生じることもあります。

原因は何か

発生頻度に人種差がみられ(白人>黄色人種>黒人)、露光部の発症が多いことから、日光紫外線、とくに中波長紫外線の関与が指摘されています。また、足の裏や指(趾)の爪部(そうぶ)などに生じることから、くぎを踏んだ、ドアに指をはさんだなどの外的刺激もその誘因と考えられています。

症状の現れ方

皮膚原発の悪性黒色腫は次の4型に分類されますが、いずれにも分類できない症例もしばしば経験します。

(1)悪性黒子(あくせいこくし)型

高齢者の露光部、とくに顔面に好発します。黒褐色の斑状皮疹(はんじょうひしん)、すなわち悪性黒子として初発し、徐々に拡大したあとに盛り上がりを生じてきます。

(2)表在拡大型

白人では最も多くみられる病型で、若年者にも生じ、体幹や下肢などに好発します。また、日本においても最近、本病型の増加が指摘されています。その原因としては、生活様式の変化(戸外スポーツの隆盛や衣服のスタイル変化など)やオゾン層破壊に伴う紫外線被曝の増加などが指摘されています。

(3)末端黒子(まったんこくし)型

ほくろのがんといえば足の裏や指(趾)先が連想されるほど日本では最多の病型です。また、爪部に生じた時は黒色色素線条となり、進行すると爪が破壊されます。

(4)結節型

ほかの3型ではまず表皮に沿って水平方向に、その後垂直方向に増殖していくのに対し、本病型では水平方向の拡大が欠如しているため、見た目には小さくても意外と進行していることがあります。

検査と診断

ルーペやダーモスコープ(色素性皮膚病変を観察するための医療用拡大鏡)を用いて病変を詳細に観察することで診断できることも多いのですが、最終的には病理組織検査を必要とします。

治療の方法

近年、免疫チェックポイント阻害薬(体から異物を排除する機構、すなわちリンパ球による免疫監視機構の生理的な中断や中止を抑えることで、がんへの攻撃を継続させる薬)、腫瘍特異的シグナル伝達経路阻害薬(細胞内の伝達を妨げることで、がんの増殖を抑制する薬)などの分子標的治療薬(ある特定の分子を標的とし、その機能を制御する薬)が開発・発売され、悪性黒色腫の治療戦略は大きく変わりましたが、治療の基本は手術による病変の完全切除です。

なお、予後はその肉眼的な大きさとは無縁で、むしろ病理組織検査によるできもの(腫瘍)の厚さに相関します。そのため、その後の治療計画などを立てたうえで全切除生検、センチネルリンパ節(がんの細胞が最初にたどりつくリンパ節)生検などを行い、病期を決定するとともにその患者さんに合った治療法を選択します。

病気に気づいたらどうする

黒褐色調のできものすべてが悪性黒色腫ではなく、むしろその頻度は少ないのですが、自己診断は禁物です。また、早期に発見して治療を開始することが第一であることから、後天性色素性母斑(こうてんせいしきそせいぼはん)(生後に生じたほくろ)で表6に示すような変化がみられたら、ためらうことなく皮膚科専門医を受診してください。もちろん、先天性色素性母斑(生まれた時からあるほくろ)であっても同様です。

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