病気事典[家庭の医学]
だんりょくせんいせいかせいおうしょくしゅ
弾力線維性仮性黄色腫
弾力線維性仮性黄色腫について解説します。
執筆者:
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学教授
宇谷厚志
症状の現れ方
肘窩(ちゅうか)、膝窩(しっか)、腋窩(えきか)、側頸部(そくけいぶ)、へそなどの皮膚、また口腔、腟、肛門の粘膜に、1~3㎜の黄色丘疹(おうしょくきゅうしん)が線状または網状に集まった形で現れます。毛をむしった鳥の皮のようだといわれます。多くは20代で発症します。加齢とともに皮膚は軟らかくなり、しわが目立ち、垂れ下がってきます。
眼の症状としては網膜の色素線条(すじ)が特徴的です。両側にでき、20~40歳で発見されます。ほかに、眼底出血、脈絡膜炎(みゃくらくまくえん)も起こります。
心・血管系の症状としては、末梢動脈の狭小化・閉塞、動脈波の減弱、間欠性跛行(かんけつせいはこう)、腎動脈病変による高血圧、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)症状も起こります。ほかに、脳血管障害(けいれん、くも膜下出血)、消化管梗塞(こうそく)、肺、尿路症状の報告もあります。
検査と診断
眼の網膜の色素線条が10割近くに認められます。心臓には心電図の異常、末梢動脈の石灰沈着、血管狭窄(きょうさく)がみられます。真皮中下層の弾性線維断裂(だんせいせんいだんれつ)、カルシウム沈着があります。
治療の方法
皮膚の症状から本症を疑って診断を確定させることは、眼、心疾患の早期発見につながって予後に関係します。
経過は慢性で、加齢とともに現れるため、眼科・内科的フォローアップが重要です。皮膚は美容的治療になります。眼の症状については、早期発見による経過観察およびレーザー治療で、失明を防ぎます。
病気に気づいたらどうする
皮膚、眼科、内科を受診します。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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