病気事典[家庭の医学]

き・けつ・すい

「気・血・水」

「気・血・水」について解説します。

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解説

漢方では、人の体を健康に保っている体内のバランスを、「気・血・水」という要素に分けてとらえています。

「気(き)」とは、生命活動を維持する活力、エネルギーのことで、「気」が正常の時は"元気"ということになります。「気」は呼吸や食べ物の消化吸収により得られ、各臓器や器官の活動をコントロールしています。したがって栄養の偏りや不摂生、疲労、ストレスなどにより不足すると抵抗力が低下し、まず「未病(みびょう)」の状態になり、さらにさまざまな自覚症状が現れるようになります。

漢方ではそのような状態を「気虚(ききょ)」といいます。具体的には、食欲がない、疲れやすい、気力が低下している、日中眠くなる、かぜを引きやすいなどといった症状です。

「血(けつ)」とは体液のことで、西洋医学的にいえば循環系のはたらきをします。血液やホルモンを全身に運び、栄養素をすべての細胞に供給したり体内の調子を整えたりします。

「血」の循環が異常を来し、停滞したり偏在したりした状態を「お血(おけつ)」といいますが、栄養素が行き渡らないわけですから、全身にさまざまな症状が出ます。

「水(すい)」は体の水分の総称なので「血」も含まれますが、西洋医学的には白血球やリンパ球のような役割をするものと考えてください。つまり、外部から侵入した病原微生物を直接、食べたり破壊したり、新たに侵入した病原体に対する抗体をつくったりする免疫系をいいます。

「水」が停滞した状態を「水毒(すいどく)」といい、むくんだり関節痛が出たり、しびれや口渇(こうかつ)、おなかが鳴ったり、ほかにもいろいろな症状が出ます。

この3つは当然のことながらお互い持ちつ持たれつの関係にあるので、どれかに異常を来すとほかも影響を受け、体内バランスが崩れます。そしてまず「未病」の状態になり、放っておくといずれ発病します。したがって、何となく体の具合がよくないといった時に漢方医にかかるか、あとでお話しする「相談薬局」を訪れるとよいでしょう。

この「気・血・水」の変調と、次に解説する「証(しょう)」を判定することで、「未病」や病気の診断をします。

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