病気事典[家庭の医学]
かさばっは・めりっとしょうこうぐん
カサバッハ・メリット症候群
カサバッハ・メリット症候群について解説します。
執筆者:
群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学准教授
田村敦志
原因は何か
この病気を引き起こす血管腫を構成する腫瘍細胞は未熟で、不完全な管腔を形成しながら増殖します。しかも、血液の流れがいちご状血管腫よりも速いため、腫瘍内出血を繰り返し、出血を止めようとして血小板やフィブリノゲンなどの止血のための細胞や血漿(けっしょう)蛋白が消費されて減ります。これにより、血管腫の部位だけでなく、さらに全身的に出血しやすい状態へと進みます。
症状の現れ方
乳児期に、暗紫紅色(あんしこうしょく)から赤褐色の皮下に硬く触れる皮疹(ひしん)が生じ、急激に増大します(図82)。
周囲には紫斑がみられ、局所は熱感や圧痛を伴うことが多く、血液中の血小板数は著しく減ります。
検査と診断
血液検査で、血小板数や血液凝固(血液を固まらせるはたらき)・線溶系(血栓を溶かすはたらき)の因子を測定します。また、MRIなどの画像検査で血管腫の深部への広がりを確認します。
治療の方法
不足している血液成分の補充と抗血小板薬、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬、インターフェロンα(アルファ)などによる薬物療法と、放射線療法、塞栓術(そくせんじゅつ)、手術などを組み合わせて治療します。
関連項目
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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