病気事典[家庭の医学]
かのうせいかんせんえん
化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎について解説します。
執筆者:
香川県立中央病院皮膚科主任部長
多田讓治
原因は何か
黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が多く検出されます。発生部位が腋(わき)や股などしわが多くて摩擦(まさつ)などの刺激を受けやすいところで、汗をかきやすい部位ですから、毛穴が詰まることが最初の病変で、細菌感染は二次的変化と考えられています。腋毛(えきもう)をそることや窮屈な下着も誘因となります。
症状の現れ方
思春期から青壮年期の人で、腋の下、乳房の下、外陰部、お尻から肛門の周囲などに生じます。痛みのあるしこりとして始まり、やがて赤みを伴ってドーム状にはれ、皮膚のなかで膿瘍(のうよう)をつくり、その後うみが出ていったんは治ります。このような病変が、単発あるいは多発して長期に繰り返します。慢性に経過しながら、皮膚のなかで膿瘍と膿瘍がつながって瘻孔(ろうこう)をつくったり、ケロイド様の瘢痕(はんこん)となり、複雑な病変となります(図43)。
検査と診断
アポクリン腺の多いところに発症しやすいことが特徴です。痛みのあるしこり、膿瘍ができたり、うみが出たり、これらがしばしば慢性に繰り返すことから、診断は比較的容易です。うみからは必ず細菌培養検査を行います。
病気に気づいたらどうする
この病気のできやすい場所を清潔に保つよう注意し、腋毛をそったり、きつい下着を付けるなどの誘因を避けるよう気をつけることが大切です。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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