病気事典[家庭の医学]
もうこうせいかくかしょう(たいせん)
毛孔性角化症(苔癬)
毛孔性角化症(苔癬)について解説します。
執筆者:
香川大学医学部皮膚科准教授
米田耕造
原因は何か
家族にこの病気の人がいると発症しやすいことから、常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)が推測されています。遺伝的因子にホルモン代謝異常、ビタミン代謝異常、脂質代謝異常などが関与して発症すると考えられています。
症状の現れ方
毛孔に一致した、粟粒大(ぞくりゅうだい)ないし帽針頭大の硬い角化性丘疹が、四肢の伸側(とくに上腕)または大腿に現れます。肩部、背部、臀部(でんぶ)、耳前部にも両側に集まって、または散らばって現れます。丘疹は、正常な皮膚の色あるいは淡紅色、褐色調を帯びています。
融合することはなく、一般に自覚症状はありません。小児期に発症し、思春期で顕著になります。思春期以後は加齢とともに減少し、消退、軽快します。
この病気は、耳前部に毛孔性小丘疹(しょうきゅうしん)が多発して、紅褐色面となる顔面毛包性紅斑黒皮症(がんめんもうほうせいこうはんこくひしょう)をしばしば合併します。
検査と診断
四肢の伸側に多発する毛孔に一致した角化性丘疹により、診断は容易です。病変部の病理組織所見では、毛包(もうほう)の上部ないし中部の角質層が肥厚し、毛孔の開大、角栓の充満がみられます。
治療の方法
(1)5%サリチル酸ワセリンを1日2~3回患部に塗ります。
(2)ビタミンA軟膏を1日数回患部に塗ります。
(3)尿素軟膏を1日数回患部に塗ります。
(4)ケミカルピーリング(古い角質を除去する)を行います。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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