病気事典[家庭の医学]
せんてんせいぜんめい
先天性喘鳴
先天性喘鳴について解説します。
執筆者:
日本医科大学耳鼻咽喉科学講師
三枝英人
先天性喘鳴の解説(コラム)
原因の半数近くは喉頭軟化症(こうとうなんかしょう)ですが、他の原因がないか、また複数の疾患が合併していないか、詳しく診断を受けることが重要です。喉頭軟化症や徐々に増大してくる血管腫(けっかんしゅ)、乳頭腫(にゅうとうしゅ)では、生後5〜6週してから喘鳴や呼吸困難が現れますが、両側声帯運動不全(りょうそくせいたいうんどうふぜん)(麻痺)や先天性喉頭狭窄(きょうさく)、嚢胞(のうほう)では、出生直後から呼吸困難が高度で、気管内挿管や気管切開が必要なことが多いようです。しかし、ファイバースコープでの診断が難しい場合も多く、全身麻酔下に観察してやっと診断がつく場合もあります。
喘鳴は主に吸気の時に聞かれ、いびきよりピッチがやや高いものです。また、急性声門下喉頭炎(きゅうせいせいもんかこうとうえん)(クループ)で声帯の下方がはれてくる場合には、犬の遠吠え様と形容される独特な喘鳴が起こります。喘鳴が大きくなると、前胸部や鎖骨(さこつ)上部が吸気の際に陥没してきます。
喘鳴の音が大きくなったり、喘鳴が突然起こるようになった時には、急性炎症、気管・気管支異物、喉頭けいれんなどを合併している場合もあります。乳幼児の場合には、全身状態が急激に悪化し生命に関わることもあるので、早急に小児科医や耳鼻咽喉科医の診察を受けてください。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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