病気事典[家庭の医学]
きゅうせいこうとうがいえん
急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎について解説します。
執筆者:
防衛医科大学校耳鼻咽喉科学教授
塩谷彰浩
どんな病気か
気道の一部である声門(声帯のあるところ)のすぐ上に喉頭蓋という部分があります。急性喉頭蓋炎では、喉頭蓋が急激にはれるため、気道をふさぎ、はれがひどい場合には窒息(ちっそく)に至る危険性がある病気です。欧米においては子どもに多くみられますが、日本では成人例も少なくありません。
症状の現れ方
発熱、のどの痛み、飲み込む時の痛みなどが初発症状として多くみられますが、その後数時間のうちに、呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)(息を吸う時にぜーぜー音をたてること)が現れてきます。さらに進行すると窒息に至ることがあります。
検査と診断
間接喉頭鏡検査や喉頭ファイバースコープ検査で、喉頭蓋のはれを確認することで診断します。喉頭蓋のはれがひどいと、通常は観察できるはずの声帯が観察できず、気道狭窄(きょうさく)の所見がみられます(図16)。
治療の方法
軽症例以外は、ほとんどの場合が入院治療を行います。呼吸困難がない場合は、細菌感染に対して抗生剤、喉頭蓋のはれを軽くする目的でステロイドホルモンの点滴を行いながら、呼吸困難が増強しないか厳重に観察し、治療します。
呼吸困難が著しい場合や、短時間のうちに呼吸困難が起こると思われる時は、気管内挿管(そうかん)や気管切開術により緊急気道確保の処置を行います。気道をしっかりと確保し、窒息の危険を免れれば、急性喉頭蓋炎自体は抗生剤の投与によって治ります。
病気に気づいたらどうする
早急に耳鼻咽喉科の診察を受けてください。呼吸困難がある場合は、できれば入院施設のあるところに救急受診してください。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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