病気事典[家庭の医学]
不正性器出血<女性>
執筆者: 昭和大学横浜市北部病院院長 田口 進
女性に特有の症状
女性に特有の症状には、乳房、子宮・腟(ちつ)・卵巣などの病気や、月経の異常、妊娠や出産の異常などからくるものがあります。ここでは、そのなかから月経の異常、不正性器出血、おりもの、下腹部痛、乳房の病気についてみていきます。
女性特有の症状から考えられる主な病気
主な症状と、付随する症状から、疑われる病気を調べることができます。
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- [ご利用上の注意]
- 一般的な医学知識の情報を提供するもので、皆様の症状に関する個別の診断を行うものではありません。気になる症状のある方は、医療機関にご相談ください。
不正性器出血
月経以外の女性性器からの出血を不正性器出血といいます。
妊娠時以外の不正性器出血では、まず子宮がんを考えます。子宮がんには、子宮の頸部(けいぶ)(子宮の入口)に発生する子宮頸がんと、頸部より奥の体部に発生する子宮体がんがあります。子宮体がんは、以前は日本人に非常に少なかったのですが、だんだんと増加し続け、現在では子宮がん全体のおよそ30%を占めるほどになっています。
子宮頸がんは、40~50代に最も多く発生しますが、近年は20代の若い女性の罹患率が目立ちます。子宮頸がん発生の原因として、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が明らかになりました。HPVは、多くは性交渉によって感染するため、性活動が活発な人ほどなりやすい傾向があり、若い女性に急増している大きな理由となっています。
初期にはほとんど自覚症状はなく、進行してくると多くの人に不正性器出血が現れ、とくに性交時の出血(接触出血)が特徴的です。
一方、子宮体がんは、若い人に発生することは比較的少なく、閉経前後の40歳代後半から増加して50~60歳代にピークを迎えます。子宮体がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンによる子宮内膜の刺激作用が関与しています。最も一般的な症状は不正性器出血で、ほとんどの患者さんにみられます。そのほか、水様性のおりもの・血液の混じったおりものなどが現れることがあります。
少量でも出血があったら、ためらわずに専門医を受診し原因を確かめましょう。その時は、まず自分でどこからの出血か……腟、肛門、尿道からかを確かめましょう。腟なら婦人科、肛門なら外科、尿道なら泌尿器科。どうしてもわからない時は、まずは婦人科へ行ってください。