病気事典[家庭の医学]

しはんやく(たいしゅうやく)をりようするとき

市販薬(大衆薬)を利用する時

市販薬(大衆薬)を利用する時について解説します。

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解説

医師の処方箋のいらない薬のことを専門的にはOTC(Over the Counterの略)といいます。いわゆる大衆薬と呼ばれるものです。代表的なものは、かぜ薬、胃腸薬、外用鎮痛消炎剤、解熱鎮痛剤、目薬、ドリンク剤などがあります。これらは医師の処方箋なしで売られているものなので、副作用も問題にならず、安全な薬だろうと思いがちです。

しかし、テレビや新聞で広告され、誰でも知っているような有名ブランドのかぜ薬の副作用で死亡した例もあるのです。処方薬と大衆薬は同じ薬なのです。クスリですからリスクもあることを忘れてはなりません。

大衆薬のなかには、「スイッチOTC」というものがあります。これは元々処方薬だったものが、処方箋のいらないOTCになった薬です。処方薬と大衆薬は別のものと考えられがちですが、じつは境界線は曖昧なのです。

大衆薬だけでも副作用で死に至る事故が起こっていますが、大衆薬と医師の処方する薬との相互作用も無視できません。自分がのんでいる薬はすべて薬剤師に伝えてアドバイスを受けるべきです。

ディスカウントストアやドラッグストアで簡単に手に入る大衆薬は、きわめて安易に使われているようです。日本人は薬好きといわれますが、大衆薬に対しても緊張感を持って使用したいものです。

「登録販売者」とは何か

いわゆる大衆薬に対しても緊張感を持って服用したいといいましたが、大衆薬に対して新しい制度がスタートしました。2009年から施行された改正薬事法によって、これまで原則として薬剤師しか認められなかった一般医薬品(OTC、いわゆる大衆薬)の販売方法が様変わりすることになったのです。

薬剤師以外の新たな専門家として「登録販売者」制度が誕生しました。登録販売者は、都道府県が行う試験に合格することによって、資格を取得することができます。

一般医薬品といえば、医師の処方箋も必要ではなく、リスク(副作用)も高くなく、安全な薬と思われがちですが、なかには安全上注意を要するリスクの高いものも含まれています。したがって、一般医薬品474成分を、とくにリスクの高いもの(1類・11成分)、リスクが比較的高いもの(2類・200成分)、リスクが比較的低いもの(3類・274成分)に分類しました。一般医薬品といっても、1類に関しては薬剤師しか扱えないことにしています。「登録販売者」は、単なる“売る人”ではなく、薬の安全面のチェッカー、そして薬を買う人からの相談に応じ、情報提供をすることのできる専門家という位置づけです。

試験は各都道府県が実施しますが、難易度が違っていては不公平なので、厚生労働省の「出題の手引き」に基づいて、都道府県が試験問題を作成することになっています。

試験項目は、

(1)医薬品に共通する特性と基本的な知識

(2)人体の働きと医薬品

(3)主な医薬品とその作用

(4)医事関係法規・制度

(5)医薬品の適正使用・安全対策

となっていて、各章の出題数は20問(時間40分)ですが、(3)に限り40問(80分)あり、やはり安全面に力点が置かれていることがよくわかります。新しい“資格”に挑戦する人たちを対象に、受験本、問題集の類が多数書店に並んでいます。

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