病気事典[家庭の医学]
うったいせいひふえん
うっ滞性皮膚炎
うっ滞性皮膚炎について解説します。
執筆者:
京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学教授
加藤則人
原因は何か
遺伝的に静脈の弁が弱い体質に加えて、長時間・長期間の立ち仕事、肥満、加齢、出産などが誘因となって膝下3分の1の部位に静脈瘤ができ、血液のうっ滞が生じます。血液がうっ滞すると、血管から皮膚への酸素や栄養の供給が不足し、皮膚炎や色素沈着などの症状が出ると考えられています。
症状の現れ方
長い時間立っていた日やよく歩いた日の夜に膝下がむくみ、翌朝には軽くなるという症状がまず現れます。むくみを繰り返していると、その部位の皮膚は光沢を帯び、褐色の色素沈着が現れます。さらに変化が進むと表面にかさぶたがついた楕円形のかゆみのある紅斑(こうはん)がいくつも現れ、次第に大きくなってきます。
検査と診断
膝下3分の1に静脈瘤ができて治りにくい皮膚炎があれば、皮膚科での診察だけで診断できます。足のむくみだけがみられる時には、心臓病や腎臓病の可能性もあります。血流不全についてさらに詳しく調べるには、ドプラー血流計や超音波診断装置のある皮膚科や血管外科で検査を受けます。
皮膚炎が急に悪化する場合には、外用薬や消毒薬による接触皮膚炎の可能性があるので、パッチテストを受けます。
治療の方法
治療の基本は安静を保ち静脈の血行障害を改善させることです。立ち仕事や長時間の歩行は避け、休憩時間や就寝時は足を高くして休むようにします。弾性(だんせい)ストッキングや弾性包帯を用いるのも効果的です。皮膚炎に対してはステロイド外用薬を塗ります。治りが悪い場合には、硬化療法、結紮(けっさつ)療法、静脈抜去術(ばっきょじゅつ)、レーザー療法など静脈瘤に対する治療を行います。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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