病気事典[家庭の医学]

でんせんせいたんかくきゅうしょう

伝染性単核球症<のどの病気>

伝染性単核球症<のどの病気>について解説します。

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どんな病気か

小児や青年によく発症する、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)による急性感染症です。EBウイルスの初感染時に起こります。

主要な感染経路は、キスなどによる感染者の唾液からと考えられています。

症状の現れ方

多くは小児期に初感染しますが、その際は無症状か軽度です。一方、成人になってから初感染した場合、症状が重くなります。

感染してから発症するまでの潜伏期間は4~7週間といわれています。初期症状は発熱とのどの痛みです。口蓋扁桃(こうがいへんとう)(図12図13)が発赤、腫脹(しゅちょう)し、扁桃の表面に白い膜が付着します。その後、頸部(けいぶ)(首)のリンパ節がはれてきます。発熱のないこともありますが、通常は発病から4~8日が最も高熱で、以後徐々に下がってきます。肝臓や脾臓(ひぞう)が腫大することがあります。

検査と診断

血液検査で、異形リンパ球の増加が特徴的です。ほとんどの例で肝機能異常を認めます。EBウイルス血清中抗体価が陽性となります。

治療の方法

抗EBウイルス薬はないため、対症療法と安静が治療です。のどの痛みには消炎鎮痛薬を使用します。副腎皮質ホルモン薬の投与が有効です。抗菌薬は無効であることが多く、アンピシリンを使用した場合、薬疹を起こすことがあります。肝機能障害には肝庇護薬(かんひごやく)を投与します。

一般的には予後は比較的良好ですが、一部には短期間で重症化し死亡する例や、3カ月以上症状が続く慢性活動性の経過をとる例も存在します。脾臓や肝臓のはれも約1カ月で回復しますが、まれに脾臓破裂を起こすことがあるので、おなかに圧力や衝撃がかかるようなことは避けてください。

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