病気事典[家庭の医学]
こうくうていほうかしきえん
口腔底蜂窩織炎
口腔底蜂窩織炎について解説します。
執筆者:
いちみや医院耳鼻咽喉科院長
一宮一成
どんな病気か
口腔底とは舌の下にある口の底の部分です。ここは軟らかい組織でできているために、この部位の炎症は周囲の組織に広範囲に広がりやすい性質があります。抗生剤治療の発達した現在では少なくなった病気ですが、治療が遅れると致命的になる、重い病気です。
症状の現れ方
口腔底からあごの下にかけての部位が全体的にはれ、激しい痛みを伴います。口腔底がはれて舌が上に持ち上げられるため、舌が2枚あるように見える場合もあります。声を出すことが困難になり、嚥下(えんげ)にも障害が起こります。全身的には発熱がみられます。病気が進行すれば気道(空気の通り道)を閉塞して、窒息(ちっそく)の危険もあります。
治療の方法
入院のうえ、強力な抗生剤の点滴を行います。はれが著しい場合は、圧迫を減らしたり、たまったうみを除去する目的で頸部(けいぶ)を切開する手術をします。窒息の危険のある場合には、気管に穴をあけたり(気管切開)、鼻から管を挿入して、呼吸の管理をすることもあります。
病状が急変することも少なくないため、手術や呼吸管理に関して治療方針を立てることは決して容易ではなく、10%以下ではありますが、現在でも死に至る例があります。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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