病気事典[家庭の医学]

のどのびょうきのげんきょう

のどの病気の現況

のどの病気の現況について解説します。

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のどの病気の種類と特徴

のどの病気に関する症状としては、嚥下障害(えんげしょうがい)、嗄声(させい)、構音(こうおん)・発声障害(はっせいしょうがい)などがあります。ここであげた「のど」という部位は極めて広い範囲を指していて、口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)(上、中、下)、喉頭(こうとう)、唾液腺(だえきせん)、頸部(けいぶ)が含まれます。この部位の疾患として最も注意を要するものが、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)であり、口腔がん、舌(ぜつ)がん、咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)、唾液腺がん、喉頭がん、頸部のがん(がんのリンパ節転移)などのがんです。

嚥下障害

嚥下障害は、主として口腔(口腔がん、舌がん)、咽頭(下咽頭がん)の悪性腫瘍やその切除手術後、あるいは嚥下中枢(延髄(えんずい))の病態によって生じます。診断には、内視鏡下嚥下検査が欠かせません。

この部位の悪性腫瘍や嚥下障害の機序(きじょ)(仕組み)を熟知していて、治療にあたることができるのは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科医です。口腔外科という診療科名がありますが、正式には歯科口腔外科であり、担当するのは歯科医であることを知っておいてください。

嗄声

嗄声は喉頭の疾患で起きる症状です。疾患には声帯ポリープ、喉頭炎などの良性の疾患と、喉頭がんのような悪性腫瘍があるので注意が必要です。また、嗄声や含み声を初発症状として、急激に呼吸困難、ひいては死に至ることのある急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)が増加しているので、注意が必要です。

専門家であれば嗄声の性質で、ある程度の病態を推測できますが、確定診断のためには喉頭ファイバースコープや喉頭ストロボスコープなどを用いた精密な検査が必要です。

頸部の腫瘍

頸部の腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍の両者がありますが、とくに悪性腫瘍には注意を払わなければなりません。

頸部のリンパ節は、口腔、舌、咽頭を含む頭部全体の悪性腫瘍の転移だけでなく、食道、胃、肺、腎臓など頸部より下の部位の悪性腫瘍も転移してくることの多い部位です。また、全身的な病気である悪性リンパ腫が最初に顕在化する場所でもあります。頸部がはれた時には、それに痛みを伴うか伴わないかに関係なく早期に診察を受ける必要があります。

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