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モノアミン酸化酵素の働き

セロトニンやノルアドレナリンのような生体内にある活性アミンをモノアミンといいますが、これはモノアミン酸化酵素により分解されます。その酵素の働きを妨害する物質を「モノアミン酸化酵素阻害薬」といい、その作用で体内にセロトニンやノルアドレナリンが蓄積されます。そのセロトニンやノルアドレナリンが中枢神経を興奮させるので、モノアミン酸化酵素阻害薬はもっとも早く臨床に使用された抗うつ薬です。

しかし副作用(肝機能障害)が強く、現在ではほとんど使用されていません。サフラ(小野)だけが薬価基準に採用されていましたが、それも現在では製造中止になりました。

1964年、このモノアミン酸化酵素阻害薬とイミプラミン、アミトリプチリンなどの抗うつ薬を併用した患者が死亡してしまいました。これを契機に翌年、ロンドンで第1回の「臨床的薬物相互作用に関するシンポジウム」が開催され、薬物相互作用の研究がさかんになったという背景があり、その意味では歴史的薬剤の一つであるといえるでしょう。

ところが近年、パーキンソン病に使用されるレボドパ製剤とこのモノアミン酸化酵素阻害薬を併用すると、前者の抗パーキンソン作用が増強され持続することがわかりました。モノアミン酸化酵素には基質特異性の異なるA型・B型の2つのタイプがあって、人の脳内にはB型が多く分布しています。セレギリン塩酸塩とラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩は、そうしたモノアミン酸化酵素タイプB阻害薬です。他の薬剤との相互作用については、従来のモノアミン酸化酵素阻害薬と同様に注意が必要です。

[処方薬]は、株式会社 法研から当社が許諾を得て使用している「医者からもらった薬がわかる本 第33版(2023年7月改訂デジタル専用版)」の情報です。掲載情報の著作権は、すべて 株式会社 法研 に帰属します。

データ更新日:2023/09/27