お薬検索

ぜるぼらふ

ゼルボラフ

内服薬

処方薬情報の見方

種別

内服薬

大分類/中分類

がんに使われる内服薬/分子標的治療薬

解説タイトル

BRAF遺伝子変異陽性がん治療薬

一般名 解説

ベムラフェニブ
この薬の先発薬・後発薬を全て見る

剤形/保険薬価 解説

錠剤 / 240mg 1錠 5,026.90円

製薬会社 解説

中外

先発/ジェネリック 解説

先発品

分類 解説

BRAF遺伝子変異陽性がん治療薬

規制 解説

劇薬

使用量と回数 解説

識別コード 解説

240mg 本体コード:VEM

その他 解説

保険収載年:2015/2

「識別コード」は、薬の包装材や本体に数字・記号で記載されています。

※以下は同じ 解説タイトルで共通の解説です。[]内は一般名で、それぞれに該当する内容が書かれています。

処方目的 解説

[ベムラフェニブの適応症]BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
[ダブラフェニブメシル酸塩,トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物の適応症]BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫/BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
[エンコラフェニブ,ビニメチニブの適応症]BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫/がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん

解説 解説

BRAFは,細胞増殖のシグナル伝達で重要な働きをするタンパク質で,転移性悪性黒色腫の多くでは,このタンパク質のアミノ酸配列600番目が変異したBRAF V600が発現しており,恒常的に活性化してがん細胞の増殖を促進していると推定されています。ベムラフェニブとダブラフェニブメシル酸塩は,BRAF V600キナーゼを選択的に阻害することで,がん細胞の増殖を抑制して効果を発揮します。
一方,トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物は,BRAF活性が亢進する腫瘍の進行時に活性化するMAPKシグナル伝達経路に作用するMEK阻害薬で,BRAF阻害薬(ダブラフェニブメシル酸塩)の耐性獲得を抑制する効果も認められているため,併用することで強力な抗腫瘍作用を示します(タフィンラー・メキニスト併用療法)。
ダブラフェニブメシル酸塩とトラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物は,その後の研究で「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」にも有効であることがわかり,2018年3月に適応症として追加承認されました。ダブラフェニブメシル酸塩は,悪性黒色腫に対しては単剤療法およびタフィンラー・メキニスト併用療法(術後補助療法),非小細胞肺がんにはタフィンラー・メキニスト併用療法を行います。この療法は,米国では「画期的な治療薬」および「希少疾病用医薬品」に指定されています。
エンコラフェニブとビニメチニブは,2019年2月に同時に発売されました。エンコラフェニブがBRAF阻害薬,ビニメチニブがMEK阻害薬で,悪性黒色腫には両剤を併用して,結腸・直腸がんには両剤+セツキシマブ(セツキシマブ(遺伝子組み換え))の3剤併用あるいはエンコラフェニブ+セツキシマブの2剤併用で使用します。

使用上の注意

警告 解説

 本剤は,緊急時に十分に対応できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識・経験をもつ医師のもとで,適切と判断される人にのみ使用されるべき薬剤です。また,治療開始に先立ち,医師からその有効性・危険性の十分な説明を受け,患者および家族が納得・同意したのち使用を開始しなければなりません。

基本的注意 解説

*ベムラフェニブ(ゼルボラフ),ダブラフェニブメシル酸塩(タフィンラー),トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物(メキニスト)の添付文書による

(1)服用してはいけない場合……本剤の成分に対するアレルギーの前歴/[ダブラフェニブメシル酸塩のみ]妊婦または妊娠している可能性のある人
(2)慎重に服用すべき場合……[ベムラフェニブ]重度の肝機能障害/QT間隔延長のおそれがある人,またはその前歴/高齢者/[ダブラフェニブメシル酸塩,トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物]中等度以上の肝機能障害/心疾患またはその前歴
(3)避妊……動物実験において,母体・胎児への悪影響が報告されています。妊娠する可能性がある女性および男性患者は,本剤の服用中と服用終了後一定期間は適切な避妊を行ってください。
(4)がんの発生……[ベムラフェニブ,ダブラフェニブメシル酸塩]服用によって,皮膚に有棘(ゆうきょく)細胞がん,あるいは皮膚以外の部位に悪性腫瘍が現れることがあるので,定期的に状態を確認し,異常が認められた場合には速やかに処方医に連絡してください。
(5)光線過敏症……[ベムラフェニブ]本剤を服用すると光線過敏症が現れることがあるので,外出時には帽子や衣類などによる遮光や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により,日光やUV光線の照射を避けるようにしてください。
(6)その他……
・妊婦での安全性:[ダブラフェニブメシル酸塩]服用禁忌。[トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物]原則として服用しない。[ベムラフェニブ]有益と判断されたときのみ服用。
・授乳婦での安全性:[ベムラフェニブ]服用するときは授乳しないことが望ましい。[ダブラフェニブメシル酸塩,トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物]治療上の有益性・母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続・中止を検討。
・小児での安全性:未確立。(「薬の知識」共通事項のみかた

重大な副作用 解説

(1)肝機能障害,肝不全,黄疸。
[ベムラフェニブ,ダブラフェニブメシル酸塩](2)皮膚有棘細胞がん,ケラトアカントーマ,ボーエン病。(3)扁平上皮がん(皮膚以外),原発性悪性黒色腫などの二次発がん。
[ダブラフェニブメシル酸塩,トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物](4)心障害(心不全,左室機能不全,駆出率減少など)。(5)深部静脈血栓症,肺塞栓症。(6)脳血管障害(脳出血,脳血管発作など)。
[ベムラフェニブのみ](7)アナフィラキシーを含む重篤な過敏症。(8)皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),中毒性表皮壊死融解症(TEN),多形紅斑,紅皮症(剥脱(はくだつ)性皮膚炎など)。(9)薬剤性過敏症症候群(初期症状として発疹,発熱)。(10)QT間隔延長。(11)急性腎障害。
[トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物のみ](12)間質性肺疾患。(13)横紋筋融解症(筋肉痛,脱力感など)。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。

その他の副作用 解説

[ベムラフェニブ]
(1)おこることがある副作用……発疹(湿疹,丘疹など),光線過敏症,脱毛症,過角化,そう痒症,皮膚乾燥,紅斑,日光性角化症,脂漏性角化症,手足症候群,毛孔性角化症,皮膚病変,毛包炎,ざ瘡様皮膚炎,皮膚剥脱,ざ瘡(にきび),メラノサイト性母斑,稗粒腫,皮膚のう腫,全身性皮疹,結節性紅斑,掌蹠(しょうせき)角皮症,色素沈着障害,皮膚炎,皮膚肥厚,毛質異常,じん麻疹,日光皮膚炎,毛髪成長異常,アレルギー性皮膚炎,寝汗,多汗症,皮膚腫瘤,皮膚変色,せつ,顔面腫脹,休止期脱毛,苔癬(たいせん)様角化症,熱傷,皮膚刺激,皮膚毒性,皮膚疼痛,脂肪織炎/回転性めまい/網膜静脈閉塞,ブドウ膜炎,眼充血,流涙増加,眼乾燥,結膜炎,羞明(しゅうめい)(まぶしさ),眼刺激,霧視,眼痛/関節痛,筋骨格痛,四肢痛,筋骨格硬直,関節炎,関節腫脹,背部痛,筋力低下,筋痙縮(けいしゅく),関節滲出液,頸部痛,変形性関節症,腱痛,デュプイトラン拘縮/呼吸困難,咽頭喉頭痛,上気道感染(鼻咽頭炎,副鼻腔炎,上気道感染など)/悪心,下痢,嘔吐,腹痛,口内炎,逆流性食道炎,口唇炎,便秘,口内乾燥,消化不良,腹部膨満,鼓腸,口唇腫脹,腹部不快感,嚥下障害,膵炎/ほてり,リンパ浮腫,血管炎,動悸/頭痛,味覚異常,末梢神経障害,顔面神経麻痺,不眠症,浮動性めまい,知覚過敏,嗜眠(しみん),傾眠,ふるえ/乳頭痛/食欲減退,脱水/疲労,皮膚乳頭腫,浮腫(全身性浮腫,末梢性浮腫),発熱,体重減少,疼痛,乾燥症,棘細胞腫,悪寒,乳頭腫,アクロコルドン,インフルエンザ様疾患,カンジダ症,胸痛,全身健康状態低下,眼瞼乳頭腫,小結節,腫瘤,転倒,膿瘍
(2)検査などでわかる副作用……貧血,リンパ球減少,血小板減少,好中球減少,好酸球増加症,白血球減少/血中ビリルビン増加,AL-P・ALT・AST上昇,γ-GTP増加/低カリウム血症,高コレステロール血症/ヘルペスウイルス感染,乳頭腫ウイルス感染

併用してはいけない薬 解説

併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。

注意して併用すべき薬

[ベムラフェニブ]
(1)本剤との併用で作用が弱まる可能性がある薬剤……CYP3A4の基質となる薬剤(ミダゾラム,アトルバスタチンカルシウム水和物(HMG-CoA還元酵素阻害薬),シンバスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)など)
(2)併用すると本剤の有効性が弱まるおそれがある薬剤……CYP3A4を誘導する薬剤(リファンピシン(リファンピシン),フェニトイン(フェニトイン),カルバマゼピン(カルバマゼピン)など)
(3)併用すると本剤の作用が強まる可能性がある薬剤……CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール(深在性真菌治療薬),ポサコナゾール(深在性真菌治療薬),クラリスロマイシン(マクロライド)など)
(4)本剤との併用で作用が強まる可能性がある薬剤……CYP1A2の基質となる薬剤(カフェイン,テオフィリン(テオフィリン),チザニジン塩酸塩(チザニジン塩酸塩)など),CYP2C9の基質となる薬剤(ワルファリンカリウム(ワルファリンカリウム)など),P-gp(P-糖蛋白)の基質となる薬剤(ジゴキシン(ジギタリス製剤)など)
(5)併用するとQT間隔を延長させるおそれがある薬剤……QT間隔延長を引きおこすことが知られている薬剤(イミプラミン塩酸塩(三環系抗うつ薬)),抗不整脈薬(キニジン硫酸塩水和物(キニジン硫酸塩水和物),プロカインアミド塩酸塩(プロカインアミド塩酸塩),ジソピラミド(ピリジンメタノール系抗不整脈薬),ソタロール塩酸塩(ベーター・ブロッカー(適応症に不整脈を含むもの))など)
(6)併用すると放射線皮膚障害,放射線性肺臓炎などの放射線照射リコール反応,放射線増感作用が現れることがある治療法……放射線照射

海外評価 解説

  • 6点
  • 英
  • 米
  • 独
  • 仏

プレグナンシー・カテゴリー 解説

  • PC
  • D

[ご利用上の注意]
薬の服用にあたっては、必ず処方する医師、薬剤師の指示、又は製薬会社の説明書にしたがって下さい。 また、自分が疑っていた副作用が本書に記載してあるからといって、自己判断で服用をやめたりしないでください。 疑問な点があれば、すぐに医師、薬剤師に相談して下さい。本サイトに掲載後に承認された新薬もありますので、不明な薬については、医師、薬剤師にお問い合わせ下さい。

[処方薬]は、株式会社 法研から当社が許諾を得て使用している「医者からもらった薬がわかる本 第33版(2023年7月改訂デジタル専用版)」の情報です。掲載情報の著作権は、すべて 株式会社 法研 に帰属します。

データ更新日:2023/09/27