病気事典[家庭の医学]
いぶつがのどにつまった<おうきゅうてあて>
異物がのどにつまった<応急手当>
異物がのどにつまった<応急手当>について解説します。
執筆者:
筑波メディカルセンター病院救急診療科医長
上野幸廣
気道に入ったか、食道に入ったか
異物が気道に入った場合は、咳込んだり、呼吸音がヒューヒューいったりするのでわかります。また、完全に気道が閉塞していると声を出せないため、図11のような動作をします。これを「窒息時のサイン(チョークサイン)」といい、大至急、異物を取り除かなければ死に至ることがあります。
食道に入った場合は、よだれが増え、吐き気、嘔吐がありますが、まず死亡することはありません。ただし、ボタン型電池と薬の外装(PTP)は合併症を起こす可能性があるため、すぐに病院を受診する必要があります。
- 【1】自発的に強い咳をしている場合は、咳や呼吸努力を妨げない。
- 指による異物のかき出しは、一般の人にはすすめられない。異物をさらに奥に押し込み、気道の閉塞を悪化させることがあるので、異物が口腔内に確実に見える場合以外には行わないこと
- 電気掃除機による吸引もすすめられない
- 【2】咳をしなくなった場合や、呼吸困難が進行して反応が乏しくなった場合などは、次に述べるような閉塞を解除するための手当(気道異物除去)を行う。
気道異物除去の方法には、腹部突き上げ法(ハイムリック法)と背部叩打(こうだ)法がある。
意識がある場合
- 1歳以上の小児から成人の場合は、 腹部突き上げ法(図12)または 背部叩打法(小児~成人)(図13)を行う。成人の場合は、まず腹部突き上げ法を優先し、効果がなければ背部叩打法によって、異物を排出するまで、あるいは意識がなくなるまで行う
- 1歳未満の乳児や妊婦の場合は、腹部 突き上げ法は行わない。背部叩打法(乳児)(図14)のみを実施する
意識がない場合
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情報提供元 :
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