病気事典[家庭の医学]
ていおんねっしょう
低温熱傷
低温熱傷について解説します。
執筆者:
慶應義塾大学医学部救急医学講師
佐々木淳一
低温熱傷の解説(コラム)
低温熱損傷、いわゆる低温熱傷とは、短時間の接触では問題とならない温度で、長時間接触することによって起こる皮膚の傷害のことです。熱いというよりはむしろ温かい程度の熱を長時間受け、皮膚の深部にまで熱の影響を受けた状態です(図60)。
使い捨てカイロ、電気アンカ、湯たんぽ、電気カーペット、電気毛布などが、一定時間皮膚に直接接触していることが原因になります。とくに高齢者、乳幼児、体の不自由な人には、十分な注意が必要です。
低温熱傷は長時間をかけて傷を受けたものなので、あわてて流水などで冷却をしても効果はありません。さらに、低温熱傷の多くは真皮深層から皮下組織に達するような傷害ですから、受傷した部位を中心に清潔なガーゼなどでおおい、すみやかに医療機関を受診する必要があります。
III度熱傷に相当する傷害で、傷面の閉鎖までに時間がかかるため、瘢痕(はんこん)を形成することが多く、時に植皮術が必要になります。
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