病気事典[家庭の医学]
ひぞうてきしゅつごのめんえきふぜん
脾臓摘出後の免疫不全
脾臓摘出後の免疫不全について解説します。
執筆者:
亀田総合病院救命救急センター長
葛西 猛
脾臓摘出後の免疫不全の解説(コラム)
脾臓は2つの免疫のはたらきをもつ臓器です。ひとつは細菌などの異物を貪食(どんしょく)(細胞が異物を細胞内に取り込んで消化する作用)する機能、他のひとつは免疫グロブリンや貪食作用を容易にする補体を産生する機能です。
貪食作用
ヒトの体のなかで、貪食作用の75%は肝臓に、25%は脾臓に依存しています。肝臓が貪食作用を発揮するためには特異抗体が必要ですが、脾臓は特異抗体の存在なしでも貪食作用を発揮できるのが特徴です。
抗体産生
脾臓は免疫グロブリンのなかでIgMを産生します。IgMは血流に侵入する細菌などの抗原に対してすみやかに反応して、生体に対する攻撃力を弱めます。同時に補体(異物などの貪食作用を容易にする)を産生する臓器でもあります。
脾臓はこのように重要なはたらきをするため、できるだけ脾臓の摘出は避けるべきです。脾臓の摘出が行われた時には、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を接種し、小児の場合、半年はペニシリン系の経口薬を服用すべきです。
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