病気事典[家庭の医学]

きんちょうせいききょう

緊張性気胸

緊張性気胸について解説します。

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緊張性気胸の解説(コラム)

 気胸のうち、空気が流入する損傷部が一方向に弁状となっている場合には、吸気によって胸腔内へたまった空気を呼気(こき)時に体外へ排出できず、そのため呼吸運動をするたびに胸腔内に空気がたまっていきます。

 胸腔内圧は極度に上昇して、肺は高度に虚脱(きょだつ)(収縮)し、縦隔(じゅうかく)は反対側へかたより、患側の横隔膜(おうかくまく)は下降して重い呼吸循環不全を示すようになります。この状態を緊張性気胸と呼びます(図36‐C)。

 緊張性気胸の症状は、高度の呼吸困難、患側胸郭(きょうかく)の著しい膨隆(ぼうりゅう)、皮下気腫(ひかきしゅ)、チアノーゼ、頻脈(ひんみゃく)などです。

 緊張性気胸は、生命に関わる極めて重篤な状態で、一般の人ができる応急処置はないので、迅速に救急車を呼び、しかるべき医療機関に搬送してもらわなければなりません。

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