病気事典[家庭の医学]
がいしょうとは
外傷とは
外傷とはについて解説します。
執筆者:
慶應義塾大学名誉教授
相川直樹
解説(概論)
外傷は、家庭医学の問題として病気(疾病)と同様に重要です。外傷にはさまざまな種類があり、年齢にもよりますが、軽微な「けが」を含めると、何らかの処置を要する外傷の頻度は、治療を要する病気より多いこともあります。
家庭、職場、学校、路上、交通機関などで起こる外傷は、生命には影響しない軽微なものが大半を占めます。しかし、外傷直後の処置を間違えると、あとで創(そう)(きず)が感染(化膿)したり、治癒が遅れたりする原因にもなります。
また、頭や腹部の打撲で、皮膚には創や出血がなくても、内出血などがあると時間の経過とともに重症化することもあります。初期対応が悪いと、後遺症で長く苦しむ外傷もあります。
外傷は時と場所を選ばずに起こりますが、軽微な外傷では救急車を呼ぶまでもなく、正しい知識と一般医薬品と医療用具の準備があれば、現場で応急処置とその後の処置をすることもできます。一方、救急医療体制が整備されつつある日本でも、すぐに救急隊員や医師の処置が得られない状況で、交通事故や墜落などの重傷外傷が起こることもあります。
このような事情から、外傷に対してはその直後の処置(応急処置)、外傷局所(部位)と全身状態の把握、その後の診療をどうするかの判断が、外傷現場において順序だてて適切に行われる必要があり、外傷についての知識を身に付けておくことが重要です。
外傷とは
物理的あるいは化学的な外的要因(外因)によって起こる、体の組織・臓器の損傷を「外傷」といいます。外傷に対して「病気(疾病)」は、臓器の構造的・機能的異常などの内的要因(内因)や、病原菌などの生物学的外因によって起こります。外傷と疾病とを併せて、「傷病」という用語が使われることがあります。
外傷のほとんどは、物理的外因のうちの機械的外力(力学的外力)による、皮膚、骨、筋肉、内臓などの損傷であり、これを「狭義の外傷」、一般には「けが」といいます。
そのほか、物理的原因による外傷には、熱や赤外線、紫外線による「熱傷(ねっしょう)(やけど)」のほか、まれな外傷として電流による「電撃傷(でんげきしょう)」、放射線による「放射線損傷」などがあります。また、化学的外因によるものには、酸・アルカリなどによる皮膚や粘膜の損傷である「化学損傷」があります。
この章では、機械的外力により起こる「狭義の外傷」を中心に解説します。
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