病気事典[家庭の医学]

あくせいかんせつりうまち

悪性関節リウマチ

悪性関節リウマチについて解説します。

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悪性関節リウマチの解説(コラム)

 悪性関節リウマチは日本に特有な病名で、欧米ではリウマトイド血管炎と呼ばれます。関節リウマチに全身の血管炎症を併発し、難治性で重い病態です。患者数は全国で約5000人です。申請して承認されれば厚生労働省の特定疾患治療研究医療費を受給できる難病です。

 原因は不明ですが、関節リウマチ以上に強い免疫異常や炎症が関係し、リウマトイド因子、赤沈、CRP値は高くなります。

 悪性関節リウマチでは、関節のはれが強く、関節破壊の進行が早い関節炎が先行します。肘下部(ちゅうかぶ)の皮下結節(リウマトイド結節)、下肢などの青色網状皮疹(もうじょうひしん)(リベド皮疹)や紫斑(しはん)などの皮膚症状中心の型と、全身性動脈炎型とがあります。

 後者では、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、多発関節痛、筋痛などの全身症状に加え、障害された臓器症状が現れます。皮膚症候に加えて、多発性単神経炎、眼のぶどう膜炎、リウマトイド胸膜炎(きょうまくえん)(胸水がたまる)、心膜炎(しんまくえん)、冠動脈炎による狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)、消化管出血や腸閉塞(ちょうへいそく)など、多様で重い臓器の症候が現れます。また、間質性(かんしつせい)肺炎や肺線維症(はいせんいしょう)を伴う症例もあります。

 進行性の関節リウマチの患者さんで、皮膚症状、発熱、全身倦怠感などの全身症状が現れれば、早急にリウマチ・膠原病を専門とする内科を受診すべきです。

 診断には、厚生労働省の特定疾患調査研究班による診断基準が使用されます。すなわち、関節リウマチに加え、前記の強い免疫異常や臓器症状、ならびに組織検査での血管炎の存在により診断されます。

 治療は、強い免疫異常と血管炎を制御するために、大量のステロイド薬と免疫抑制薬を併用します。全身血管炎型では死亡率は43%で、心不全、感染症、呼吸不全が主な死因ですが、最近では、シクロホスファミド(エンドキサン)やアザチオプリン(イムラン)などの免疫抑制薬の併用により、5年生存率は約80%に改善したとされます。

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